menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

危機への対処術(7) 危機の指導者の条件(ウインストン・チャーチル)

指導者たる者かくあるべし

 1.明確な目的意識

 危機におけるリーダーに求められる最重要の条件は、「明確な目的意識」を持ち示すことである。第二次世界大戦で対ドイツ戦争を勝ち抜いた英国の戦時首相、ウインストン・チャーチルは揺るがぬ目的意識があった。それは信念ともいえる勝利への確信だった。


 ヒットラー率いるナチスドイツ軍が、ポーランドに侵攻して戦端が開かれた当初、英国政界を握るエスタブリッシュメント層には、「ドイツとの激突を避けてヒットラーとの政治的妥協を探る」宥和(ゆうわ)論が根強かった。数百万人の犠牲者を出した第一次大戦の二の舞は御免だという思いだ。


 一貫してナチスドイツの危険を訴え続けるチャーチルは英国政界の厄介者でもあった。困難の中でチャーチルに政権を引き継ぐことになった首相のチェンバレンも、宥和論へのこだわりから最後まで「チャーチルに任せては国が崩壊する」と懸念していた。


 1940年5月10日、国王から組閣の大命を受けたチャーチルは、その夜ベッドに横たわりながら、こう感慨を抱いたと回想している。


 「これまでの人生すべてがこの時、この試練のための準備に過ぎなかったかのように感じた」。対ドイツ戦勝利に向けた厳しい道のりを思った。そして付け加えている。「私は自分が(戦争勝利に)失敗するはずがないと確信していた」。


 全ては勝利のために。その想いが、前回書いた英国下院での「われわれはいかなる犠牲を払おうとも本土を守り抜く」という名演説につながる。

次のページ危機の指導者の条件②コミュニケーション力

1

2 3

危機への対処術(6) チャーチルに学ぶ(ゼレンスキー・ウクライナ大統領)前のページ

危機への対処術(8) 危機の能力と平時(ウインストン・チャーチル)次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連記事

  1. 故事成語に学ぶ(13)九牛の一毛をうしなうが如し

  2. 故事成語に学ぶ(50) 臣をして忠臣とならしむることなかれ

  3. 日本的組織管理(13) 結果論では叱らない

最新の経営コラム

  1. 相談7:含み損のある土地があるのですが、別会社で買うのがいいか、個人で買うのがいいか、どちらでしょうか?

  2. 第9回 注意しても部下が変わらないのはなぜか? ~原因は人ではなく仕組みにある~

  3. 第146回 地味ながら世のクラウド化の追い風を受けて高成長を遂げる サイバーリンクス

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 経済・株式・資産

    第90話 中国の「為替操作国」認定はあり得るか?
  2. マネジメント

    交渉力を備えよ(18) 筋を通して実利を取る
  3. 経済・株式・資産

    第93話 中小企業の税負担を減らす経理(1)
  4. 教養

    第77回『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(著:野口悠紀雄)
  5. マネジメント

    第16回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ブルガリホテル&リゾーツ
keyboard_arrow_up