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マネジメント

第130回 『コミュニケーションでの覚悟』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

 
相手が日本人であれ外国人であれ、
人と接していて意思疎通がうまくいかない時に、
よくいうセリフがある。
 
「社会的背景が違う」
「価値観が違う」
「日本人は特別だ」…。
 
あるいは、
「コミュニケーション・ギャップでした」という、
一見カッコよさそうに響く(?)弁解が横行している。
 
しかし、これらの弁解を正しく意訳すれば、
それはむしろ、
「私の話し方が足りなかった」、あるいは、「不適切だった」
ということに他ならないのではないだろうか。
 
私なりに意思疎通がうまくいかない原因を考えてみると、4つある。
 
まず一番目に、
そもそも相手に伝えたいポイントが、自分でもよく分かっていない。
 
二番目には、
分っていても、よく整理されていない。
 
三番目には、
相手と波長が合っていない。つまり、
相手に分る感覚や言葉や表現で言っていない。
 
 
英文のビジネス文書を勉強した人なら知っていることだが、
“You-Attitude(相手側に立った態度)”という表現がある。
 
相手の立場や考え方の波長に合わせて、ものを表現するということである。
 
例えば、5歳の子供に“児童立入厳禁”と書いた立札を見せても、
子供には漢字が読めないから、その場に入ってしまう。
しかし、ひらがなで、“あぶないから はいっては いけません”
と、子供にも分かる表現を使ったら、その場に入るだろうか…。
 
これが、“You-Attitude”の最も単純な例である。
古来、「人をみて法を説け」ともいうではないか。
 
四番目の原因としては、
言ったことの事後の確認を怠っている。
そのため、誤解のまま話が進展・拡大してしまう。
 
もし、コミュニケーション・ギャップを生ずる原因がこの4点ならば、
これを無くすには、これらと逆のことをすればよい。
 
 
真に他人とコミュニケーションするときに
覚悟しておかねばならないことが、2つある。
 
ひとつ目は、コミュニケーションにおいては、
「自分が相手に何を伝えたか」「何を伝えたと思ったか」
が重要ではなくて、
「実際に相手に何が伝わったか」
が大事なのだという点を、わきまえることである。
 
とかく、“こう言ったハズなのに……”というケースが多すぎる。
 
ふたつ目としては、
よほど万全を期して完璧なコミュニケーションをはからない限り、
自分なりに一応コミュニケートしたなと思った状況では、
相手には、「言いたいことの30%ぐらいしか伝わっていないものだ」
というのが私の経験である。
 
自分の言いたいことの70%が相手に正しく伝わるケースはむしろ例外で、
そうであったときは、逆立ちして喜んでもいいくらいだ。
 
下手をすると、真意がまったく逆に伝わっていることさえ多々ある
という危険をあらかじめ認識しておく必要がある。
 
 
私たちビジネスマンは、お互いに忙しいので、以上の2つをわきまえたうえで
口頭によるコミュニケーションを行えばよいが、話の内容によっては、
文書でフォロー・アップして確認した方がよい場合もあるので掲げておきたい。
 
まず、会社の基本政策や規定に関するもの。
二番目:法律的な問題。
三番目:数字をともなった内容。
四番目:内容が複雑な問題。
五番目:複数の部門に関する問題。
 
以上は、文書で確認したいものである。
 
 
かつての軍隊には、「復唱」という
素晴らしいコミュニケーション・テクニックがあった。
 
ビジネスでも、どんどん応用すべきであると思う。
 
「コミュニケーション・ギャップでした」という言葉を、
社内から追放したいものである。
 
 

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