「チームづくりは三年かかる」。楽天オーナーの三木谷浩史に告げて創設二年目の楽天イーグルス監督を引き受けた野村克也にとって、三年計画は、1990年に万年Bクラスのヤクルトスワローズの監督を引き受けて、日本一に導いた経験があった。
「一年目はまず畑を耕し、二年目にいい種をまき、花が咲くのは三年後」。
一年目こそ5位に終わったが、約束通り二年目に3位、三年目にリーグ優勝を果たした。そして四年目には日本シリーズで勝利し日本一のチームに育て上げた。
楽天の状況は、当時のスワローズよりひどかった。最初のシーズン終了後のドラフトで、その後大リーグで活躍する田中将大(まさひろ)を獲得できた幸運もあったが、あとは持てる人材をいかに発掘して使うかにかかっていた。
野村は「プロ野球の人材には四種類ある」と言う。超一流、一流、超二流、二流だ。
野村のいう「超一流」の定義はこうだ。「実力、実績はもちろんのこと、練習態度やチームへの献身の姿勢や言動を含めて選手の模範となり、チームの要となる人材」。
長島、王、イチロー、田中将大、ダルビッシュと彼が挙げる超一流リストを眺めると、合点がいくだろう。「人格面も兼ね備えてはじめて超一流といえる」。
「一流」とは、「実績を残すだけで、フォア・ザ・チームの精神に欠けるから、使えるが、リーダーとはなりえない」。
「超二流」は、素質もあり努力もするが、今ひとつ突き抜けられないタイプ。「二流」となると、素質を持ちながら努力しないタイプだ。どんな組織も、この二種類が大部分を占める。
「二流選手は、〈自分の実力はこの程度〉と自己限定しているから、プロには向かない、おやめなさい」と厳しい野村は、超二流をいかに育て上げるかが、チーム、組織づくりのカギを握る」と指摘する。
何が自分に足りないのか、努力の方向は正しいのか――。レギュラーにいま一歩手が届かない原因、理由を本人に気づかせることができれば、超二流は“大化けする”可能性を秘めている。