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社長業

第49回 「お客様第一主義」の根本

繁栄への着眼点 牟田太陽

※本コラムは2023年6月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 3月、4月と事業発展計画発表会の数は、コロナ禍前ほどに回復をした。全国あちこちの会社から呼ばれて基調講演をした。スケジュールはキツかったが、2020年のこの期間は第一回緊急事態宣言で自宅待機であったことを考えると、忙しいことはどんなに有難いことかと思う。

 いろんな会社の発表会に参加すると考えることもある。
 「お客様第一主義」はどんな会社でも計画書の中に必ず出てくる言葉だ。故一倉 定先生は、「お客様第一主義」という言葉を最期まで言い続けた。その薫陶を受けた社長の会社に行くと、いまでもその言葉が受け継がれていることが分かる。

 しかし、一倉先生が亡くなられて24年が経った。24年も経つと、寂しいことだが直接薫陶を受けた社長も随分少なくなってきた。社員の平均年齢も大きく変わった。多くの会社を見てきて、世代が変わり社員が変わり「お客様第一主義」の中身が変わってきているのではないかという気がする。

 そもそも「お客様第一主義」とは何をすることなのか。具体的に言えるだろうか。もっと言えば、自社の「お客様」の定義を考えたことがあるだろうか。お金を払えば皆お客様だろうか。お客様は何をしてもいいのだろうか。本当に「お客様は神様」なのだろうか。答えなどない。自分で考えなくてはいけない。

 このコロナ禍でストレスからかモンスター化するお客様への対応など、何度も相談を受けた。中には度を越え法律に抵触するのではないかという案件もあった。これらはどこに問題があるのか。

 近江商人の経営哲学で「三方よし」の経営というものがある。「売り手よし、買い手よし、世間よし」というものだ。

 京セラの故稲盛和夫先生の経営理念の中には、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」とある。どちらも最初に来るのは「自分たち」である。自分が満足していなければ、お客様を満足させることなどできない。

 前述した「自社のお客様の定義」について、私には明快な考えがある。「お客様は神様である。神様ではあるが、媚びへつらってまで買っていただこうとは思わない」というものだ。そうでなければ、社員が仕事に誇りを持って働くことなどできないからだ。

 その上で、「お客様第一主義」を徹底する。環境整備であったり、電話応対であったり、接客・接遇であったり、言葉遣いなどがくる。これらを社員たちにいま一度丁寧に教えなくてはいけない。環境整備も、電話応対も、接客・接遇も、言葉遣いも、それ自体が目的ではない。目的はもっと別の所に存在する。それが分からなければ、お客様には伝わらない。

 世代が変わり社員が変わると、いつの間にか、環境整備も、電話応対も、接客・接遇も、言葉遣いも内部管理の手段のように使われてしまう。そこにお客様は不在だ。本質はもっと違うところにある。

※本コラムは2023年6月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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