menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人事・労務

第17話 管理職手当の適正金額はいくらか

「賃金の誤解」

 賃金セミナーの会場で管理職の仕事についてお尋ねしたときのことです。
 
 「管理職の仕事とは、社長の立てた経営計画を実現することです。課長の役割は部下に上手に仕事を割り当て、部下を励ますこと。そして指示した仕事の出来栄えを審査し、成果を部長に報告することです。」と模範的な答えが返ってきました。
 
 労働基準法第41条の「監督若しくは管理の地位にある者」に対しては、時間管理を行わないことが認められています。
 
 一部の企業は、課長任用と同時に「役付者の地位についたから…」といった考え方で今までの給与に相当額を加算して、ご祝儀的に昇格昇給している例がありますがそれは大きな誤りです。
 
 正社員には毎月の給料のほかに賞与や退職金の制度があり、昇格時ご祝儀昇給などで操作を行うことは、新たなアンバランスや凸凹発生の原因となるからです。加えて、労働基準監督官から「名ばかり管理職だ、第41条に定める管理監督者には該当しない」と指摘され、昇給後の所定内給与を基礎に残業および休日出勤の再計算を命じられたら大変です。
 
 さらに、ご祝儀昇給には避けられない大きな欠点があります。それは昇格願望に抗しきれず、処遇のために職位乱設の傾向が生じたり、派閥や情実人事の横行を助長する結果となりやすいです。
 
 「偉くなったのだからご祝儀で…」と言った旧来の身分資格的な昇格の考え方から脱皮しなければ精鋭組織は作れないのです。
 
 しかし課長以上の者に対しては、別に残業手当相当額を保障しなければ、係長以下との給与総額が逆転する恐れが出てきます。課長以上の役職者に対しては、残業保障的意味の管理職手当を設け支給すべきです。
 
 例えば課長職の家族手当を除く平均給与が37万円であり、月の所定労働時間は168時間(8時間×21日)で、係長以下の残業時間が20時間程だとすれば、残業保障的意味の管理職手当の金額は以下のように計算できます。
 
(37万円÷168時間×1.25)×20時間≒5万5千円
 
 もちろん実際の残業には個人差や職場ごとのちがいがみられますが、そのような場合でも特殊なケースを除いて、全般的な平均値を基準として統一的に手当金額を決定することが妥当です。
 
 中小企業や商店などでは、特殊な例として、係長や主任に対して、若干の役付手当をつけることがありますが、残業計算をしない場合は別として(労働基準法の解釈上からは問題とされることが多い)なるべく廃止の方向へもってゆくべきです。

 

第16話 特技者や市場賃率の高い専門職者の給料の決め方前のページ

第18話 管理監督者2つの重要仕事次のページ

関連記事

  1. 第32話 若い実力社員を登用する時の取扱い

  2. 第112話 2019年も大幅アップする最低賃金

  3. 第28話 賃金人事の問題を整理してみれば

最新の経営コラム

  1. 【昭和の大経営者】ソニー創業者・井深大の肉声

  2. 「生成AIを経営にどう活かすか」池田朋弘氏

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 税務・会計

    第27回 長らく無借金の会社は、銀行にとって狙い目です
  2. マネジメント

    第242回 昭和×平成×令和
  3. 経済・株式・資産

    第81話 『ジャパン・アズ・ナンバーワン』は中国でベストセラーへ
  4. 不動産

    第49回 モデルルームやモデルハウス完成直後に「 検討会 」を行い是正修正工事終...
  5. マネジメント

    第七十八話 「知行合一」(株式会社居酒屋革命グループ)
keyboard_arrow_up