<社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:イケア>
~勝ち組と負け組が明確になる今、経営者の判断がブレると会社は、これから負け組に入ってしまうでしょう。しかし、経営者の判断が理念を軸に、ブレなければ、会社は、生き残り、勝ち残ることが可能です。
なぜなら、先行きの見えない日本で現場は、経営の判断が常にブレない会社なら、その会社を信頼して“ついていこう”と思い、顧客の声に耳を傾け始めるからです。
会社は、永続する必要があり、永続させるには儲からなければならず、そのためには、顧客の声を聴き、必要とされる会社になり、利益を生み出すことが不可欠です。
経営者は代わりますが、変わらぬ経営理念を軸にブレない経営を実践し、会社の風土を築けば、現場が一つとなり、顧客になくてはならない会社には何が必要か?探り当てることができるのです。
そこで18回連載を終わり、今回からは全3回で“イノベーション(革新)”をキーワードに顧客の支持を獲得している会社を事例に、経営理念により現場士気を向上させ、それを売り上げに結びつける仕組みを、解説いたします。
~「世の中を変えたい!」志が成功へ導いた!~
1920年代、創業者のイングヴァル・カンプラードは5歳で近所の家々にマッチを売り始め、7歳になる頃には自転車で訪問販売を開始。17歳で優秀な学業成績を収めたご褒美に父親から貰ったお金で1943年にイケアを創業しました。
そして今イケアグループは、世界41カ国・地域に約12万8000人の従業員を擁し、年間総売上高231億ユーロ(3兆円)を超えるグローバルに展開する大手小売りチェーンへと成長しているのです。
“なぜイケアが、ここまで成長できたか?”
この答えは、創業者イングヴァー・カンプラッド(現在は名誉会長)が抱いた、低所得者にも、豪華さは必要ないが、見栄えの良い家具を提供したいという高い志と共に同氏に世の中を変えたいという思いがあったからなのです。
~経営理念を可能にするイノベーション(革新)とは!?~
イケアの創業当時(1943年)のスウェーデンでは、お金持ちは豪華な家具・見栄えの良い家具を使っていましたが、低所得者は安っぽい家具・見栄えの悪い家具しか使うことができませんでした。
世の中変えたいという志は、世の中の不公平を変えたいという形で創業者の熱意となり、同社の経営理念「より快適な毎日を、より多くの方々に」が生まれ同社は下記のように世の中のこれまでの常識を具体化することで、これまでの常識を<イノベーションによって変えることができる!>3つのステップとして現場が共有できる仕組みにしました。
<イケアが明確にした“これまでの常識”とは??>
- お金持ちは豪華な家具・見栄えの良い家具、低所得者は安っぽい家具・見栄えの悪い家具
・・・・“これまでの常識”を覆すイケアのイノベーション(革新)の3ステップ・・・・
ステップ1・まずは販売価格を想定
ステップ2・販売価格から商品開発を始める
ステップ3・「より快適な毎日を、より多くの方々に」ができるか?検証
~イノベーション(革新)を理念実現にリンクさせる9つのルール~
イケアは、同社の存在意義が現場のやりがいにつながるべく、理念実現「より快適な毎日を、より多くの方々に」を目的とするための日々現場が守るべきルールを以下のように同社の価値基準としてまとめ、現場全員が共有(同社で働く人全てに小冊子として配布)しています。
〔理念実現のために日々すべき価値基準〕
1 商品開発
2 イケアの精神は今も強く生き続ける
3 利益がリソース(資源)を生み出す
4 限られた資金や手段でより良い結果を得る
5 簡潔は美徳である
6 違うやり方でやってみる
7 力の集中
8 責任を負うことは特権である
9 やるべきことはまだまだある 輝かしい未来へ
イケアは、経営陣が掲げるイノベーション(革新)を現場にもブレない軸として機能させるため、現場がイノベーション(革新)を実践する際のルールとして、現場の日々の価値基準(上記)をまとめ、
~現場にイケアの存在意義は、
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スウェーデン流の暮らし方(シンプルで機能的で家族と過ごす家での生活を人生で最も重視するライフスタイル)と
- イケア独自の価値感(優れた品質と機能、デザイン、サステナビリティー、そして安さ)を提供すること である~ と明言し
現場が会社の存在意義について、「いつ何時でも」考え、気づく仕組みを醸成することで、現場のアイデア(知恵)を導き出しているのです。
●イケア HP
http://www.ikea.com/jp/ja/