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製造業

第214号 「安全第一」の標語について

柿内幸夫─社長のための現場改善

 仕事で全国を回っていると、この時期はいろいろなお祭りに出会います。とても嬉しいです。そこで今回は、静岡県の三島(上の写真)と、埼玉県久喜(下の写真)のお祭りの模様を写真におさめてきました。

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 夏に入ってしばらく安全についてのお話を続けてきましたが、今回でこのシリーズは最終といたします。

 「安全第一」、この言葉は日本全国どこにいても聞かれる誰でもが知っているスローガンです。あまりに当たり前でその通りですから絶対に誰も異議を唱えることができません。

 その結果、ものすご~く古くから貼ってあって完全に色あせてしまっていても「安全第一」のポスターであれば剥がせません。

 映画のポスターであれば、上映が終われば意味がなくなるので気楽に剥がせますが、「安全第一」の場合は終わりがありません。

 したがって、いったん貼り続けられると、あとは紙が破れて誰が見ても不自然な状態になるまで放置されることになります。ものすごく情けない状態の看板やポスターが、ひっそりとその場に残っていたりします。

 そのような賞味期限が切れた「安全第一」のポスターが貼られた工場内で、暑い日の研磨作業は汗でレンズが曇るので、安全メガネをしないでグラインダーを操作していたり、慣れたベテラン作業者が高所作業で安全ロープを装着しないで作業をしていたり、事務所の人が現場に安全靴に履き換えずヘルメットをかぶらずに入って来たり…。

 いかがでしょうか、こんな光景を見たことがありませんか?私は時々ではありますが、目にすることがあるのです。そして、そういうところでは「安全第一」はただの掛け声であり、意味を持たない口癖になっています。

 しかし、これまで問題なく作業をしてきた人からすれば、これまで大丈夫であったのだからこれからも大丈夫と考えるのでしょう。

 しかしこれって、何の根拠もないことなのです。実はいろいろな偶然が重なってたまたま安全だっただけであって、それがもし逆の方の偶然に重なると、事故になってしまうのです。

 スイスチーズモデルという事故発生に関するとても分かりやすい説明があります。ぜひご参照ください。

http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0300/manual/extra/ex_29.html

 私は今60才です。そうすると、若い頃できていたことができなくなっていることを発見することがあります。例えば、「昔だったら楽々またげた柵に足が引っかかった」とかです。

 しかし逆に言うと、この瞬間までこの危険な変化に気付いていなかったということでもあります。足が引っかかるくらいだったから笑っていますが、もし場所が高所で足が引っかかって転落していたらと考えるとぞっとします。

 要は、常に事故は起きる1秒前までは安全なのです。起きてしまえば、いくら嘆いても取り返しがつきません。

 先回の最後に、是非とも安全パトロールを強化して下さいとお願いしましたが、いくらパトロールを強化しても、その日の朝に慌てて家を出たのでコンタクトレンズを着け忘れてきた作業者を見つけられるとは思えません。

 良く見えない眼で作業をしたら危険なことも多いでしょう。そういうことのためには、やはり現場の皆さんに、改めて、心のこもった説得力のある安全第一の言葉をかけてあげて下さい。

 作業者の皆さんからも、安全第一のスピーチを頂くこともいいと思います。古くなったポスターはすぐに剥がして、みんなで新しいポスターを描くのはいかがでしょうか。

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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