menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第38話 B/S(貸借対照表)のどこが変化すると、融資が返せなくなるか?

あなたの会社と資産を守る一手

借入金が返済できるかどうかは、利益もさることながら、B/S(貸借対照表)の内容の変化によって引き起こされる。
 
これは別の言い方をすれば、
「B/S(貸借対照表)のどこが変化すると、融資が返せなくなるか?」  を決算書からあぶりだせるということを意味する。
 
純資産が2千万円の企業が、3億円の賃貸不動産を買ったとしよう。この不動産の表面利回りが10%だとすれば、毎年3千万円の収入が稼げるはずだ。ところが、純資産2千万円ということはどんなに少なく考えても2億8千万円を融資で対応することになる。これは二つのリスクを同時にかかえることを意味する。
 
そのひとつが、債務超過になるリスクだ。これは、不動産価格が大幅に下がった場合、資産をすべて売っても返済できないバランスになるということを意味する。しかも不動産価格の低下は誰にも予測できないときている。
これを債務超過というが、債務超過でもこれだけの利回りがあり利益を出しているのだから問題ないではないかということも言えるが、残念ながら融資をしてくれた金融機関はその債務超過を財務諸表と実勢価格で毎年確認しており、少なくともその企業に対しては良いイメージをもたなくなる。当然、新規融資も出にくくなる。
 
itte38_01.jpg
そして、二つ目のリスクが前記の例であれば、表面利回りの低下による収益率の悪化で、本来返済可能な毎月返済ができなくなるリスクだ。
 
利回りの低下は建築物の年数経過による老朽化で空き室が増えるとか、近くにもっと良い賃貸マンションが建ち、かつ価格的にも安いため、退去した後に空き室になるケースが増えるとかだ。
 
これら、利回りの低下は、債務者の経営責任ともいえるのだが、二つのリスクは借入金が多いことによって発生していることがわかると思う。現実に前記と同様のケースで破たんした企業を再生させたこともあるが、いくら利回りがいいからといって、身の丈の何倍もの資産を持つべきではないのだ。
 
これら二つのリスクは相互にからみあって企業体力を弱らせ、「融資の返済ができない」状況を生み出しやすくする。
 
ある程度教育を受けた経営者の場合、ほとんどの破たんは資産によって引き起こされる。資産が純資産に比べて肥大化した場合、資産の劣化について考えていなければ、突然倒産ということもありえるのだ。

 

第37話 あきらめたら、そこで終わり前のページ

第39話 新たな営業利益はどこから生まれるのか?次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連セミナー・商品

  1. 社長と会社の資産を守る法CD

    音声・映像

    社長と会社の資産を守る法CD

関連記事

  1. 第78話 会社が破たんする原因は資産にある(7)

  2. 第107話 中小企業の事業承継(10)

  3. 第61話 手元キャッシュを最大化する経営(7)

最新の経営コラム

  1. 第34回 将来の最低賃金の引き上げにいかに対応すべきか

  2. 第172話 快進撃が続くBYDの秘訣

  3. 第六十四話 下請け町工場とランチェスター戦略:失注から始まるパートナーシップ

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 戦略・戦術

    第191号 アジア最後のフロンティア「ミャンマー」
  2. 人間学・古典

    第10回 リーダーの資質 李克の人物鑑定法
  3. 戦略・戦術

    第四十五話 町工場はデジタルマーケティングとアナログセールスの融合で売上げを伸ば...
  4. 経済・株式・資産

    第50回「海洋大国日本を資産運用面で再評価すると」
  5. 税務・会計

    第71回 インボイス制度点検その2 売上代金から振込手数料を差し引かれたときの経...
keyboard_arrow_up