「3Mブーム」はピークアウト
「3M」は耐久消費財の代表格である。鄧小平氏の改革開放政策によって、中国は30年以上の高度成長を実現し、国民にある程度の豊かさをもたらした。この高度成長の牽引車は、まさに都市化の進展に伴う「3M」の消費ブームだ。
しかし、消費主力である労働力人口の減少によって、「3M」の消費ブームは今、いずれもピークアウトになっている。
まず、自動車の新車販売台数を見よう。図3に示すように、新車販売台数のピークは2017年。この年に2901万台の自動車が売れた。5年前の1931万台より970万台も多い。しかし、18年から減少に転じ、2022年の販売台数は輸出を含めて2686万台だ。311万台の輸出を除けば、国内の新車販売台数はピーク時に比べれば約15%も減少した。
出所)国家統計局の統計により筆者が作成。
2023年6月現在、中国の自動車保有台数は3.28億台に上り、4人に1台の計算だ。飽和状態に近づいているのは明らかだ。今後、新車販売台数が伸びたとしても、それは輸出増加による寄与であり、国内販売がピークを超えることはまず無いと思う。
新車1台の価格は数百万円で、国民消費への寄与度が高い。国内新車販売の停滞または減少は景気への下振れ影響が大きい。
モバイルも新車販売と同じ傾向にある。出荷台数で見れば、ピークは7年前の2016年、年間20億台強が出荷される。以降、ピークアウトし、昨年に輸出を含めた出荷台数は15.6億台、ピーク時の4分の3に過ぎない(図4を参照)。現在、14億の国民が1台以上のスマホを持っており、さらに増加するのは難しい。
出所)国家統計局の統計により筆者が作成。