中国経済は今、成長の勢いを失い息切れの局面に陥っている。政府が早急に景気対策を打ち出さなければ、今年5%の政府目標の実現が危うくなる。
第2四半期GDPは大幅に減速
国家統計局の発表によれば、4~6月期の中国GDP成長率は前年同期に比べ6.3%だった。一見すれば1~3月期の4.8%より高く、成長が加速しているように見える。
しかし、実態は違う。前期比で見た場合、今年第1四半期は2.2%、第2四半期は0.8%。年率換算すれば、1Q9%、2Q3.2%となり、中国経済が大きく減速している実態が浮き彫りになる。
昨年4~6月、「ゼロコロナ」政策の下で上海ロックタウンが実施され、中国のGDP成長率が0.4%しか伸びなかった(図1を参照)。今年、「ゼロコロナ政策」撤廃によって、経済活動が正常化し、第2四半期の経済成長率は前年同期比7%以上が市場コンセンサスとなっていた。しかし、蓋を開けて見れば、実績は市場予測を下回る6.3%だった。
出所) 中国国家統計局の発表より。
消費、輸出、投資はGDP成長の3大要素と言われる。投資は今年2月以降、伸び率は月ごとに低下している。消費につき、4月がピークで、5月以降は2カ月連続で伸び率が鈍化し、6月は3.1%増にとどまる。輸出は5月からマイナスに転落。うち、5月▼7.5%、6月▼12.4%でマイナス幅が拡大している(図2を参照)。言い換えれば、4~6月はGDP成長の3大要素である消費・投資・輸出はいずれも悪化している。経済減速は当然のことだ。
出所) 輸出は中国税関統計、消費と投資は国家統計局により沈才彬が作成。