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戦略・戦術

第65回 新潟視察でわかった『会社を守り、成長させる原動力とは何か?』~ファンビジネスとは、前受け金のこと!?~

継続経営 百話百行

(1) 新潟視察でわかった!? 在庫リスクを減らす

先日、新潟視察に行ってきました。

新潟もご多分にもれず、人口減少が続いています。

今新潟の人口は
新潟県人口 2,195,068人
新潟市人口  791,906人
長岡市人口  264,408人
三条市人口   93,903人
燕市 人口   76,689人
(2021年1月1日現在)

という状態です。


今回見に行った会社で
これは、これからのビジネスに
知っておくべき方向かもと
強く感じました。


どういうことなのか?

今、世の中は大きく変わり
一昔前は、資産を持ち、技術を持ち、自前でやることが
大きく他社との差を広げ

長く勝ち続ける要素でした。

だから、自動車メーカーや、電機メーカーも
それをし、長く勝ち続けてきました。

しかし、1990年代半ばから
インターネットが普及し

3つの理由で、持たざるのが勝ち続ける要素になってきたのです。

1つ目は、流行、トレンドの期間が短くなった

2つ目は、インターネットの普及により、技術の優位性期間が短くなった。

3つ目は、開発技術より、要素技術が重要になった。


この結果として、
他社との優位保持する期間が短くなり

とかく早く切り替えることをしないといけないので
持たざる経営をしている企業が優位になってきたようです。


資産を持っているのが優位から

資産を持っているから切り替えが遅くなり不利になる
ことが多くなってきたのです。

そこから、
在庫もいかに持たないで済むか?

という企業が優位に立っているように思います。

小売業も、メーカーも
いかに持たないか?

そうなったとき、今回視察した企業は
まさに参考になりました。

(2) 在庫を持たない!? 前受け金の仕組み

最初に見に行った企業が、「カーブドッチワイナリー」

その次に行ったのが、日本の料理人が注目しているワイナリー「ドメーヌショオ」

ここのビジネスモデルが最高に勉強になりました。

「カーブドッチワイナリー」は

年間30万人が訪れるワイナリー
年間販売量の実に95%がワイナリーのショップやレストランでの直売
カーブドッチ創業者 落 希一郎氏
売上高はグループ全体で約12億円
(2015年度)
社員160名

76年渡独。 西ドイツの国立ワイン学校でワイン作りを学ぶ。 帰国した落を待っていたのはドイツとはかけ離れた日本の現実。当時日本には、海外から輸入したワインを日本で瓶詰めして国産として売っているワイナリーもあった。 落は決意する。「日本で育てたブドウで本物の国産ワインをつくろう」。落は北海道や長野を渡り歩き、それまで日本では難しいとされていた、欧州のワイン専用のブドウの栽培に取り組み、ついに新潟にワイン作りの理想郷を見つける。 だが落はその時44歳。手持ち資金はわずか200万円。銀行はまったく相手にしてくれない。 そこで考えだしたのが「ブドウの苗木のオーナー制度」。1口1万円でブドウの苗木のオーナーになると、10年間毎年ワインが1本送られてくるという制度だ。これが大当たりした。 わずか1年で3000万円を集めた。こうしてカーブドッチは会員数の増加とともにブドウ畑を広げ、様々な施設を充実させていった。

1人1万円で毎年1本のワインを10年間贈ることにした。このアイディアは「ヴィノクラブ」という名称で正式に開始され、1993年4月のニューズレターから会員を募り始める。はたしてその反応は、「できたてのワイナリーを自分たちの力で応援していこう」(ヒアリング)という読者の琴線に触れ、非常に大きなものとなった。開始時の1993年度の会員は1年間
で3,000人、3,000万円の資金が集まり、その後も毎年3,000人前後のペースで増え、4年後には1万人超の会員組織に成長、資金の合計も1億4,000万円に達するのである。


要約すると
●出資単位 1万円/人
●10年間、葡萄の木1本につき1本のワインを10年間プレゼント
●自分の葡萄の木は区画ナンバーにより管理
●収穫時季の葡萄摘みなど様々なイベントを開催
● 生産地情報を4回/年、送付

★このプランで1万人の会員を集めて1億円集めた。
★会員名簿として通販に利用。
★10年間に1度は訪問したいというニーズが掘り起こせた。
★基本的には1人では来ない。

(筆者撮影 施設内のレストラン)

(筆者撮影 施設内の温浴施設)


ここのすごさは
資金集めにシックハックして出てきた、苦肉の策ではあるが

参考にするべき事は
「究極のファンビジネス」なのです。

資金がない中、ビジネスをするのに
資金集めとして、事前にお金を集めたのです。

そして、集めた内容が
ファン心をくすぐるのです。

ファンを集める
 ↓
資金を前払いしてもらう
 ↓
ずーっと続くように情報発信する
 ↓
何度も来てもらう。

これは、今のクラウドファンディングと同じニーズ、仕組みです。

それを30年も前からやっていたことに驚きです。


ぜひ、前受け金になるファンビジネス。

参考にして欲しいです。

 

もう一つの会社「ドメーヌショオ」も
カーブドッチさん
と同じような仕組みをとっている。

「ドメーヌショオ」は

代表 小林 英雄 (Kobayashi Hideo)

両親の仕事の都合で、2歳のころよりアラブ首長国連邦(ドバイ)で育ちました。地理的に旅行に便利だったのと両親の旅行(酒)好きもあり、各地の食文化と酒文化に触れてきました。そのような経験の中、ワインに特に魅力を感じ将来ワイナリーをやりたいと思うようになりました。大学では生物資源学(農学)を学び、在学中に1年間オーストラリアのワイナリーに住み込みでバイトに出ました。院では地球環境科学を専攻。
微生物学を専門に生命共存科学で博士号を取得。その後将来のワイナリー経営を意識してビジネスコンサルティング会社に就職。多くの人々との出会いと別れを経て、2008年にカーブドッチワイナリーでの修行をスタート。2011年9月にワイナリーをオープンしました。

(筆者撮影 ドメーヌショーのワイナリー)


醸造所でいろいろ話を聞く、遊び心と、緻密な戦略この融合が面白い
小林さんが随時言っていた「嗜好品」というのが納得だ。

(筆者撮影 醸造所の壁面がボルダリングになっている)


(筆者撮影 説明を聞く)


これからの日本は、遠くに販売する、遠くから来てもらうのがポイントになる。そのためには、「エンターテイメント性」が必要だ。
「魅せる」というのがこれからのポイントだろう。

(3) 新潟視察でわかったこと2つのこと

人口が減少する日本は、「エンターテイメント性」を取り入れることが、人を呼ぶ、そして、遠くで販売できる手法の一つになりそうだ。エンターテイメントの進化には「魅せる」が重要になってくる。
そして、魅せる進化には、「合わせる」ことによる独自性が面白い。

先行投資ビジネスはよいが、高維持費継続ビジネスは成り立たない。そして、在庫ビジネスもどんどんダメになる。
維持費も、在庫も必要であれば、ファンビジネスをして、前受金をとれるようにするとよい。

これからのビジネス
「ファンビジネス」 = 前受け金

「魅せる」 = 差別要因 = 違うものを合わせる
                  ↓
採用でも、プロジェクトでも
同じような人ではなく
違う人を合わせることで化学反応が起きる

 

(4) 人財が会社を成長させる。

売れるものではなく、会社が成長する仕組みを作った。

そこに必要なのは
・倫理 と ・採用

  ↓

能力の高い人をとる

エンジェル投資家は狂気に駆られた若者を御するため、グレイヘア(白髪の老人、成熟した大人)と呼ばれるシニアの経営者を取締役として送り込んだり、自分たちが経営に関与したりします。
アップルのジョブズには創業期からマイク・マークラという経験豊富な投資家が付いていたし、
グーグルの創業者であるセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジにはサン・マイクロシステムズやノベルで経営者として経験を積んだエリック・シュミットが付いていた。


2冊の本より
起業家の勇気 USEN宇野康秀とベンチャーの興亡 児玉 博(著)
起業の天才!: 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男大西 康之(著)

(5) 人財排出会社、リクルートの採用

人事部を中心に、技術系を含む人材の大量採用計画

1988年 事件
リクルートは大卒男女の1,000人採用
「人を採れ、優秀な人材を採れ、事業は後からついてくる」

87年に社員3,000人の規模の会社が
88年3,700人。89年4,300人。90年4,900人と拡大する。

創業から25年以上経った社員の平均年齢が、見るまに27歳から24歳に下がっていった。

リクルートには「全員がリクルーター」という創業以来の遺伝子が働いていて、「採用のできないマネージャーは偉くならない」

江副さんだって例外ではない。
NTTの偉い方々や銀行の支店長クラスの来客があっても、人事部に頼まれた”大事なフォロー”を優先する。

とんでもなく採用に投資しているからこそ、優秀な人材が採用でき、結果的に、社外でも通用する人材を多く輩出することになるのだ。

1988年、リクルートの人事部は1,000名を越えるマネジャーや先輩リクルーターの協力を得て、6万人の学生に会い、1,037人を採用した。

採用専任職は140名。人件費・一般管理費だけでも30億円にのぼった。
採用予算は、ナント総額86億円。
採用する学生一人当たり830万円の投資である。

大学の前の寿司屋を1ヶ月以上借り切る飲食代。
寿司屋を借り切るのかと疑問に思う方もいるかも知れないが、6万人の学生に会うということは、狙った大学の学部については全員に会うに等しい。だから遠慮なく語り、続々と口説くために、他の客が入ってこないよう借り切ってしまうのである。

また、変わったところでは、スーパーコンピュータ1台分の購入費も、採用経費に入っていた。

RCS事業(コンピューターの時間貸し事業)
クレイ社の当時世界最高速スーパーコンピュータを2台買い入れた。
2台目はXMP-18で約10億円。

このうち1台は、まったく使用せずに数年後に捨てている。

今、どこに金をかけたら、いい人材が採用できるか。
どんなシンボル(象徴的な物事)で人を惹き付けたらいいか。
それが直感的にわかっている人なのである。

10年間で10億円の利益を稼ぐ技術を提供してくれそうな技術者
たった一人を採るために、初年度に10億円かけても惜しくはない。

カネでも土地でもシステムでもなく、「人という資産」が含みを生む経営を生み出した最初の経営者であったと考えている

(リクルートという奇跡 藤原 和博 (著) より)

良い人を採用したければ

その人が望むことをしていかなければならない。

(6) 会社をつぶすたった一つの言葉

レクサスの車検で、トヨタの販売会社が
車検項目を検査していないのに、行ったとした
不正車検の問題が露出した。

これは、ものすごくいけないことだが
現場は
お客様に早くお返ししたいという思いから
これは大丈夫だろうという
検査項目を省略した。

現場は、現場なりの最良を選択しているのだ。

もちろん正しいことではないが、
ただ現場が悪いとも言ってられない。


他にも
みずほ銀行 5度目の障害!? なぜそうなるか?それはたった一つの理由だ!!

当事者は、すごく大変だろうが。経営者は、教訓になる事例だ。私は、システムの専門家ではないので、なぜこうなったかは分からない。

だが、何度も不祥事が起きる組織は必ず共通していることがある。
2000年(平成12年)6月の戦後最大の食中毒を起こした、雪印。
2000年、2004年 三菱リコール隠し。
この二つは、命に関わることだったので、
大々的にニュースになり

そして、会社は残っているが両社とも、資本が変わった。つまり、元々の会社は潰れたも同然。

今回のみずほ銀行も、人の命に直接関わっていないので、反響も大きくなっていないのかもしれない。
しかし、2月の障害、今回の障害で、中小企業の経営が潰れているところがあるかもしれない。
これらの共通点は
組織内で悪いことが常識化してしまっていることだ。

「まっ、これくらいはいいだろう」と
駅前の自転車の駐輪や、トイレの落書きのように
少しくらいなら大丈夫と
組織内でその雰囲気になり、

これくらいは大丈夫、これくらいは大丈夫と
少しずつ、悪いのが進み、あるときに一線を越えて、大きく影響を与える。
ということだ。

少しくらいならというのが、組織を滅ぼしていく。
そうならないために、厳しくしようというよりも、
絶対譲れない、基準を作り、それをすべての人が徹底する
ということが出来ているかが、大切だ。

そのために、
これからの中小企業の組織は
小さなことを守る、それには、時間を守るというのがやはり大切な気がする。
それも、始まりよりも、終わりの時間。
会議も、就業も、飲み会も
終わりがあまりにも、「まっ、これくらいはいいだろう」としているところが多すぎる。


「これくらいは大丈夫」のこれくらいはどれくらいか?

しっかり考えておきたいもんだ。

(7) 人が会社を崩壊し、人が会社を守る

ダブルチェックの原則
「ダブルチェック」とは、人と組織の健全性を守る「保護メカニズム」である。
私の経営哲学の根底にあるのは、「人の心をベースとして経営する」ということである。
人には、ふとしたはずみで過ちを犯してしまうというような弱い面もある。人の心をベースにして経営していくなら、この人の心が持つ弱さから社員を守るという思いも必要である。これがダブルチェックシステムを始めた動機である。
真面目な人でも魔が差して、罪を犯すことがある。これは、管理に油断があったために作らせてしまった罪でもある。よしんば出来心が起こった
にしても、それができないような仕組みになっていれば、1 人の人を罪に追い込まなくてすむ。
このように社員に罪を作らせないためには、資材品の受取、製品の発送から売掛金の回収に至るまで全ての管理システムにおいて、複数の人間や
部署がチェックし、確認し合うことが必要である。

 

(8) まとめ

会社を成長させるのと、会社を守る

この2つが相反しながら
両方同時にやっていかないといけない。


これからのキーワードは
・ファンビジネス(前受け金)
・魅せる(合わせる)
・不正をしない

成長も、守るのも 「人」

だから、採用にはお金か、手間暇を掛けるべき

・よく働く、よく勉強する
・そして、遊びながら仕事をする
・そして、人間性(これは、社内の雰囲気)

この3つを大切にすることが
より強固な組織を作るのだろう。

第64回 沖縄視察・北海道視察で見えてきた『日本は動き出してきた地方の中小企業が継続するコツ』前のページ

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