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第28話 なぜアメリカのCEOは中国共産党を評価するか?

中国経済の最新動向

 最近、中国の大物政治家、重慶市書記薄煕来氏の失脚によって、中国共産党は大きなダメージを受け、マスコミによるネガティブ報道が目立つ。その中、中国共産党を評価する1つの新聞記事が注目される。英「フィナンシャル・タイムズ」紙2012年5月19日記事「中国共産党 米CEOの手本」である。
 
 この記事によれば、ニューヨークに本部を置く世界大型企業研究会(THE CONFERENECE BOARD)は最近、70名のアメリカ大手企業CEOを対象にアンケート調査を実施した。「世界のどの組織が最も職責に相応しく評価されるか」という設問に対し、回答者の90%は「多国籍企業」を選び、ダントツの1位を占める。評価理由は「経済危機や金融ショックへの対応は効率的」だとされる。アメリカの大手企業のほとんどは多国籍企業であるため、彼らは自分を高く評価することは理解できないわけではない。
 
 2位は「中央銀行」で、80%弱のCEOたちは評価している。中央銀行の「効率的な活動」は評価の理由とされる。
 
 意外なのは3位の「中国共産党」である。64%のCEOたちは中国共産党を評価し、「米大統領」の33%、米国会の5%より遥かに高い。
 
 評価理由は2つ。1つは「政治・経済の挑戦に対応する能力あり」で、2つ目は、「中国政府の政策策定が長期的な視野に立つものだ」とされる。
 
 あるアメリカ大手企業のCEOは、次のように評価の理由を述べる。
「我々は中国の一部の政策が好ましくない。でも、少なくとも我々は、彼らは何を目指しているかを知っている。」「アメリカの問題は、政策はいずれも短期的なもので、次は何が起きるかが誰も知らない。」
 
 言うまでもなく、アメリカのCEOたちはイデオロギーの側面から中国共産党を評価するものではなく、むしろ彼らは中国共産党が信奉するマルクス主義に反対している。しかし、彼らは経営者である。リアリズムに立脚し、経営の視点から見れば、中国共産党を評価すべきであると、彼らは見ている。
 
 一国の政府であろう、議会であろう、政党であろう、民間企業であろう、いずれも組織である。組織としてのマネジメント能力があるかどうかは、その職責に相応しいかどうかの判断基準となる。マネジメントの視点から見れば、中国共産党を高く評価せざるを得ない理由がある。
 
 過去20年間、世界経済はアジア通貨危機、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、ユーロ危機など金融危機や経済危機を経験した。世界主要国のうち、金融危機や経済危機を逃れ、成長挫折を回避できた唯一の国は中国である。この国の経営者は正に中国共産党である。
 
 この20年間、中国共産党はリーダーシップを発揮し、市場経済の導入、WTO加盟など重大な決断を行い、中国経済を世界経済に融合させた。北京オリンピック開催、上海万博開催など歴史的なイベントも成功させた。勿論、その間に、陳希同北京市書記失脚(1996年)、陳良宇上海市書記失脚(2006年)、薄煕来重慶市書記失脚(2012年)など政治的な危機も発生したが、中国共産党はいずれもそれらを乗り切ったのである。
 
 「政治・経済の挑戦に対応する能力あり」というアメリカのCEOたちによる中国共産党評価の理由は、まさに上述した世界的な危機、国内の危機を克服したことを指すものである。
 
 さらに、中国は「GDP4倍増計画」(1980~2000年)、5ヵ年計画など中長期的な経済成長戦略を策定し、国民に目に見える利益をもたらす長期的なビジョンを示すことに成功した。しかもこれらの長期計画はいずれも繰り上げて実現できたのである。
 
 結果的には、この20年間、中国経済の年平均成長率は約10%にのぼり、経済規模は世界第7位から一躍して第2位になったのである。経営の視点から、20年連続で増収・増益を果たし、会社を安定・高速な成長軌道に乗らせた経営者を立派な経営者と素直に評価せざるを得ない。
 
 経営者は政治家と違う。政治家が一般的にイデオロギーのカラーが強いのに対し、経営者は現実主義の傾向が強い。この意味では、アメリカのCEOたちは中国共産党を高く評価することが理解できないことはない。

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