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第243号 アナログなやり方も悪くない!

柿内幸夫─社長のための現場改善

 10月5日(金)~12日(金)までの8日間、第48回経団連洋上研修に講師として参加しておりました。
 研修に参加した団員は145名で、名誉団長として東日本旅客鉄道元社長・現相談役で経団連副会長の大塚陸毅氏、チーフアドバイザーとして明治大学大学院の野田稔教授、アドバイザーとして多摩大学大学院浜田正幸准教授、講師として私が乗船しました。

 下の写真は、船上で美しい虹を見たので、それを撮影したものです。

kaki243-1.jpg

  さて、先回から、【すべての人の参加による改善実行による人財の育成・活用】についてお話ししておりますが、今回の洋上研修の内容がこのテーマと極めて高い共通性がありますので、洋上でのお話を使ってご説明をさせて頂きます。(チョコ案制度の話は、次回以降でやります。)

 5日の正午に横浜港を出港し、台湾に到着するまでの最初の3日間で前半の船内研修を行い、寄港地の台湾では、2日間に渡り現地企業の訪問や観光。そして、船内最後の3日間で仕上げの研修をして、横浜港に戻って来るという日程です。

 船上での6日間は「強い組織・熱い職場をつくる」という総合テーマで、参加団員全員が徹底的な討議をします。

 一班7人の小グループに分かれて、自身の会社でテーマを達成するためにどうすればよいかを話し合うのですが、全く違う分野の会社、それも初対面の方々とグループを作りますので、最初はグループメンバーの自己紹介から始まる研修です。

 研修期間中はグループ討議だけでなく、名誉団長を始め大学教授やコンサルタントの講義もあり、団員たちのスケジュールは超過密です。

 討議も自分の会社で同僚とする時とはずいぶん勝手が違い、なかなかお互いを分かり合えず、加えてテーマが普段はあまり深く考えることがない抽象的なものなので、困難を極めます。

 しかし、辛抱強く議論を重ねていくうちに、そして講義や現地取材等からのこれまでにない情報や経験を蓄積するうちに、少しずつですが答えが見つかり始めます。

 そして、最後は驚く様な結束力で、すべてのチームが自分たちの結論を導き出しました。

 ところで、洋上研修の特長の一つとして、徹底して話し合うということがあげられます。これは、時間に追われまくる今の時代の管理・監督者は、あまり経験したことのない仕事のやり方です。

 事実、参加者は職場ではマネージャー・リーダークラスなのですが、例外なく「時間がなくて、部下の育成もままならない」状況にあり、議論のスタートはどちらかというと「強い組織・熱い職場をつくる」ことがナゼできないか、要するに「できない理由」のオンパレードから始まりました。

 もし、いつもの調子でこのテーマの結論を出そうとすれば、みんな忙しいので、作業分担で能率よく仕事を進めると思います。

 インターネットなどで資料を集める人、集めたデーターを整理して文章にまとめる人、パワーポイントで発表資料を作る人といった感じで、やり取りはメールが活用されるでしょう。

 ところが、洋上にはインターネットもメールもありません。全て対面でゼスチャーも交えての肉眼と肉声、そしてホワイトボードや模造紙への肉筆のみが道具です。

 情報はお互いが持つ知識やこれまでの経験と、「たゆまざる改革」と題した名誉団長の国鉄改革時のご経験に基づく講義などのみです。普段の仕事のやり方と比べると、いかにも古臭く、能率が悪いように思えます。

 ところが結果として、最初に「ナゼできないか」の説明に終始していた団員が、最後には「自分たちにはやれることがたくさんある」という気持ちを持って下船されました。つまり、一人ひとりが「気付き」という大仕事を成し遂げたのです。

 この驚くべき変化の秘密は、研修のもつアナログアプローチにあると思います。今回の研修で団員の皆さんはインターネットなどで答えを探したのではなく、自分たちで苦しんでもがいて答えを創り上げたのです。

 探してきた借り物の答は行動につながりません。しかし、自ら創り上げた答えは行動する意欲を生み出します。

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copyright yukichi


※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。
etsuko@jmca.net

 

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