経済成長をけん引する3大要素である輸出・投資・消費の月別推移を見れば、いずれも今年8月に底を打ったと見られる(下表を参照)。
投資
設備投資、不動産投資、インフラ投資を含む固定資産投資は、今年8月の20.2%増が底である。9月に合計55件の大型インフラ投資案件が許可され、投資加速の効果が表れた。9月20.5%増、10月20.7%増、11月20.7%増と月ごとに拡大している。
消費
7月13.1%増、8月13.2%増と消費の底が確認された。9月から消費拡大の傾向が顕著となり、同月14.2%増、10月14.5%増、11月14.9%増を記録している。特筆すべきなのは年末までの政府による駆け込み消費である。当局の発表によれば、今年1-10期の財政黒字は1兆元(約13兆円)弱で、11月と12月はそれぞれ1兆元規模の財政収入がある。中国の財政年度は1~12月なので、年末まで約3兆元規模の資金を使わなければならない。これまでの経験則では、年末までの2ヵ月間は駆け込み消費が発生し、景気への刺激効果が見られる。12月消費の伸び率も11月並みかそれ以上と考えられる。
上記3要素以外に、鉱工業生産指数と製造業購買指数(PMI)も景気動向を占う重要な指標である。この2つの指数も8月に底打ちが確認された。
生産
鉱工業生産指数は8月8.9%増を底に、9月9.2%増、10月9.6%増、11月10.1%増と月ごとに増加の幅が拡大している。
購買
製造業購買指数(PMI)50%は景気動向の分水嶺と見られる。50%を超えれば、好景気を示すが、逆に50%を下回れば景気悪化と判断される。8月に49.2%と発表され、景気は予想以上に冷え込んでいる。しかし、8月は景気の底となり、9月から好転する。9月、10月、11月はそれぞれ49.8%、50.2%、50.6%となっている。PMIも底打ちが確認された形となっている。
要すると、短期的に中国経済は底が付いたと確認され、今年第4四半期の成長率は8四半期ぶりに好転し、通年は7.8%成長となる確率が高い。このまま景気復調の勢いを保てば、来年8%成長も予想される。