アジアを中心とする新興国成長をいち早く業績に取り入れた企業が、グローバル企業として存在感を増しているが、内需外需ともに不振の日本にとって、今後もアジアシフトは不可欠だろう。
近年新興国では、経済成長により衣食住の水準が向上し、伝統的な穀物中心メニューから乳製品や肉類へと食の欧米化が進み、豊かな食卓にはアルコールも並ぶ。
食糧問題は、鉱物、水資源と並んで将来の需給逼迫と価格高騰が深刻である。日本の食糧自給率(カロリーベース)は39%(2011年)に過ぎず、個別食糧では小麦11%、大豆は10%未満とさらに低下し、農業従事者の高齢化や耕作放棄地拡大は止まらない状況である。
農業は人だけの問題ではなく、肥料に始まり、農業法人による経営システムや流通・販路開拓まで、解決すべき多様な課題が山積しているためTPPなど自由貿易の推進による弊害が農業分野で大きいのである。
農林水産業の従事者(1次産業)が、食品加工と製品加工(2次産業)も行い、さらに国内外の販路開拓、流通まで従事する(3次産業)と農林水産業の6次産業化(1×2×3=6)というコンセプトになる。
6次産業化の目的はシステムとしての制度化で、6次産業化法(2011年3月施行)の認定を受ければ、事業資金の無利子融資や補助金措置もあり、1次産業の活性化が期待される。
貿易・金融・観光立国のいずれにも欠かせない食。日々の食べ物の生産国や主要輸出国、肥料やそれに関わる日本企業はどこかなど、少し掘り下げれば資産運用に必要な思考回路も活性化されるだろう。
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