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後継者

第56回 「騙し」にあわない、あわせない

欧米資産家に学ぶ二世教育

以前、騙しの研究をしたことがあるが、和牛商法、オレンジ共済、FBIの秘密資金、AIJ投資顧問のケースなど実に多彩である。海外からの騙しのお誘いも盛んである。国際的詐欺団にとっては日本は絶好の漁場であるらしく、ナイジェリアの詐欺集団などは日本支店を出しているらしいと以前聞いたことがある。

大体、日本人ほど他人の言うことをすぐ鵜呑みにしてしまう国民はめずらしい。

振り込め詐欺は一部海外へと輸出されているそうだが本家本元は日本である。「もしもし こちら水道会社のxxxですが、実はお宅の配管が古いことが解りまして・・・」といった電話がかかってくると、「そうか」と素直に信じてしまうのが日本人である。自分が正直だと、つい他人もそうに違いないと思いがちだ。人がよく素直で正直なのは決して悪いくはないのだが、ビジネスリーダーとなれば「人がよいので騙されました」では済まされない。蛇のごとく賢くもなくてはいけないのである。

詐欺の対象にされるのは何も世間を知らないお年寄りとは限らないのを御存知だろうか。M&Aで名をはせた大実業家も騙されている。カモられたケースを入れれば、ほぼ全員が被害者になっているのではないだろうか。だから騙し対策には綿密な教育が必要なのである。商談が来たとき、投資の勧誘があったとき、まず後継者に調査をさせ、それをダブルチェックするかたちで詐欺対策を教えられよう。

人はどんな時に騙されやすいか。特に注意したいのは「焦り」そして「欲」である。これは何も個人的な欲得とは限らない。決算時に何とかもう少しよい数字にしたい、つなぎの資金が早急に欲しい、そんな時に限って不思議に狼のお誘いがかかってくる。甘い話・旨過ぎる話はおかしいと解っていても焦っている時は引っかかってしまう。冷静な頭でのダブルチェック機能が必要なのである。

「馴れ」も怖い。初めてのときは色々調べて慎重にことを運んでも、二回目、三回目となるとついチェックがおろそかになる。以前の投資では配当も好調、「この際、勝負するか」と投資額を大幅に増やしてしまう。

投資詐欺を調べてみると、最初のうちは配当も払い込まれ、順調な運用成績を残すのだが、安心して投資額を大幅に増やすころには投資(詐欺)スキームが破綻、詐欺団はドロンしていたりする。「馴れが恐い」と肝に銘じよう。

どんな人が詐欺にかかりやすいか といえば、

 断れない人

 人が好い人

 疑わない人

 自信過剰な人

つまり私たち全員なのである。

 榊原節子 

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