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第61回 金持ちはケチか

欧米資産家に学ぶ二世教育

金持ちにはケチな人が多いとよく云われる。水を出しっぱなしで顔を洗っていたら厳しく叱られた。家で家庭教師について勉強中の兄に声をかけたら、「お金を無駄にしないで」とすごい勢いで怒られた。富豪のシビアさを示すエピソードは枚挙にいとまがない。

私自身米国でアパートに住んでいたことがある。そこの大家さんが「しこたま貯め込んでいる」といううわさはすぐ耳に入った。ある日この大家さんが心臓発作を起こした。が、無料で診てもらえそうな医者の卵である私の夫の帰りを何時間も待ち続けた。やっと帰ってきた夫が診察して、「すぐ救急車を呼ぶように」と奥さんに言うのを聞いた大家さんは、「いや待て!」とやおらベットから立ち上がった途端事切れてしまった。米国では救急車が有料だから「勿体ない」と思ったに違いない。

大金持ちだからチップも沢山貰えると踏んでいたら大体期待外れになる。中にはホテルの前に整列した従業員にチップをたんまりはずむというようなことをする人もいるが、代々続くエスタブリシュメントはまずはこのようなことなどはしない。そこそこのチップを貰っても相手が大富豪だとわかると「おや、ナンダ」ということになるのだろう。

私の知り合いの歯医者は「金持ちに限って盆暮れのつけがない」というが、知り合いの歯医者は多分他にもおり、またそれほど世話になっているという気持ちがないのかもしれない。

金持ちが特別にケチだとは思わないが、「ボラれるのが嫌い」なのは確かだ。さる

ヨーロッパ王族の親戚が資産家を対象に、「金融取引の売買価格や手数料が妥当だったかどうか」に関する特殊な情報ビジネスを提供していて、かなり流行っているようだった。このあたりにも金持ちが経費にシビアなのがうかがえる。

また多くの人が「金持ちだから払って当たり前」と思っていることが気に入らない。実際、彼らのお金当てに寄ってくる輩は多いから、皆の言うことを聞いてたらキリがない。自分がよしと思うところには大きく使うが、それ以外のところは締める。こういう姿勢だから彼らは金持ちであり続けるのであり、収入と支出の見あいができない使う一方の子供を持つと、資産はあっという間に消えてしまう。

代々続く資産家とは、そうした事情を熟知し、子弟教育のノウハウを確立させたファミリーのように思う。

榊原節子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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