親ならだれもが自分たちの子が幸せであって欲しいと願う。しかし、どれだけ具体的また戦略的に彼等が幸せになる工夫をしているであろうか?
「well being」 という考えについて書かれた幸せ研究の本がある。幸せ、健康、満足のいく状態を数値で表した調査に基づいている。著者は世論調査で有名な米国ギャラップ社のトム・ラスとジム・ハーター両氏。
同社は1950年代から「元気で充実した人生を生きるために何ができるか」というテーマに取り組み、専門家と研究を行い、かつ世界150か国で実際に調査を行った。これはその結果に基づいた本で、日本語版は『幸福の習慣-世界150か国調査でわかった人生を価値あるものにする5つの要素』として2011年出版されている。
この本でとりあげている幸福の5つの要素とは1)仕事 2)人間関係 3)お金 4)健康 5)地域社会である。
1)幸せの最も重大な要素として「仕事を」あげているのは、収入を得て生活を成り立たせるだけでなく、社会に役立っているという意味合い、自分のアイデンティティのもととなっている側面があるからであろう。実際、ボランティア、家族の世話など情熱を傾けていることも「仕事」に含まれている。
多くの実例をもとに調査した結果、「一年以上失業すると、完全に立ちなおるのに5年かかる場合もあるが、他方配偶者をなくしても多くの人は数年後に以前の幸福度レベルまで回復する」、と述べている。
仕事に対する態度も大切で、熱意をもち、能動的に取り組む人は幸せ感が強くストレス度は低いとのこと。
2)人間関係が幸せ度に深くかかわっていることは論を待たないであろう。また幸せ感のある人は怪我の完治も倍早い。このように幸せの5要素はそれぞれに関連しあっているのである。
日々接している家族や友人が幸せを感じていると、本人の幸せを感じる可能性が15%高まるという研究結果が紹介されている。ということはあなたに幸せ感があるなら、それは子・家族に伝播するということ。
ちなみにハーバード大学の研究では、年収が1万ドル増えても幸福度は2%しか増えないそうだ。幸せになりたいなら、収入を増やすよりよき家族や友人との関係を強めるのが近道のようである。
認知症発症の要因としてコミュニケーションの少なさが再三指摘されている。「毎日6時間以上人と関わる時間を持っていると幸福度があがり、ストレスや不安は小さくなる」が調査結果のようである。「え!そんなに長く」と始めは驚いたが、6時間の中には仕事や家庭でのコミュニケーション、電話やメールをしている時間が含まれているとのこと。
職場における人との関わりあいは、例えば仕事以外のなにげない日常会話が生産性向上に有効いであると報告されている。
あなたのお子さんはよい人間関係を築けているだろうか?
よく世界の富豪の子どもが抱える問題の一つとして「よい人間関係が築けない」ことがあげられる。自分に近づいてくるのはお金のためではないかと疑ってしまい、人を信頼できない。反対に、自分は偉いのだと錯覚に陥りやたらと威張り散らすケース等々。
そのような場合、あなたならどんなアドバイスができるだろうか。
深い人間関係が築ければ、日々の生活の豊かさ、幸せ度、健康度もアップ、そして周りも幸せになる。
次回に続く
ライフスタイルアドバイザー 榊原節子