menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第91話 中小企業。資産におけるのれんの金額が大きいと…

あなたの会社と資産を守る一手

中小企業でも財務基盤がしっかりしているところでは企業買収を行い、事業を拡大したり、収益力を強化するような時代になりました。
 
企業を買収して連結子会社にした場合など「のれん」という言葉がでてきます。
 
企業買収時の「のれん」とは下記図に示したように、買収価格と買収される企業の純資産の差額を意味します。
例えば純資産1億円の会社を4億円で買収した場合、差額の3億円が「のれん」で、これは買収された会社のこれからの収益と関係しているということは理解いただけると思います。
この例でいくと、のれん3億円は、言い方はわるいですが資産としては実体があるのかないのかわからないものとなるわけです。
 
実際に買収された会社が予想どおりに収益を生んでくれれば問題ないのですが、収益を生んでいなければ毀損し、いくらかが不良資産となるわけです。
 
どうしてかというと、日本の会計基準では「のれん」は定期償却が原則だからです。つまり思うように収益が得られなかったとしてもそのまま全額を損失にはできないのです。
 
itte91_01.gif
巨額ののれんを抱える会社として有名なソフトバンクグループ㈱の財務諸表では下記のように巨額ののれんが計上されています。
 
ソフトバンクグループ㈱は会計基準にIFRS(国際会計基準)を採用していますが、IFRSでは減損テストを行いのれんの実体で損失にすることができるのです。
 
ところで、企業買収を行う中小企業の場合、日本の会計基準採用がほとんどと思われるのですが、定期償却というしばりのために買収後の収益の減少にたいして損失計上がしにくいこととなっています。これはそんなに収益がでていないのに収益がでていることとなり税負担に影響するということももちろんですが、買収側の会社の債権者である融資銀行が実際の決算書から修正バランスシートを作り、企業評価を下げるということもでてくるわけです。
 
それゆえに中小企業の場合、自社の資産規模に比べて比率の大きな企業買収は、のちのち経営を圧迫することになる可能性が大きいことを肝に念じていたほうのがよいと思います。

itte91_02.png

第90話 個人財産の守り方(2)前のページ

第92話 中小企業の税負担を減らす経理(在庫)次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長と会社の資産を守る法CD

    音声・映像

    社長と会社の資産を守る法CD

関連記事

  1. 第139話 赤字よりも怖いこと

  2. 第40話 他社よりも儲けるためのビジネスモデルとは?

  3. 第97話 中小企業の粉飾決算(3)

最新の経営コラム

  1. フランスのド・ゴールは嫌われ者のリーダーシップを体現した「決断王者」である

  2. 第150回『日野晃武道語録 人生の達人になる!』(著:日野 晃)

  3. 第146話 銀行がチェックする取扱注意の勘定科目

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 人間学・古典

    第9講 「言志四録その9」春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら慎む。
  2. マネジメント

    中国史に学ぶ(7) カリスマトップの権威にすがる悲哀
  3. 人間学・古典

    第24人目 「フリードリッヒ大王」
  4. 社長業

    Vol.8 アンケートのお願い
  5. マネジメント

    危機を乗り越える知恵(5)虎穴に入らずんば虎子を得ず
keyboard_arrow_up