昨年の「ChatGPT」の登場以降、AIは日常的な話題となり、各社が続々と生成AI技術を研究開発し競争を繰り広げている。
この技術は、オフィス業務の生産性向上に寄与する一方で、詐欺や犯罪への悪用にも繋がっている。
Google、Microsoft、アマゾン、メタ(Facebook)などの米ハイテク企業は相次いでAI技術の開発に力を入れ、これを各種サービスに組み込む動きが活発化している。
GoogleはAIチャットの「Bard(バード)」や、写真加工AI、音楽生成AI、Googleマップへの応用など、自社の25サービスへのAI組み込みを5月11日の開発者向けイベント「Google I/O」で発表した。
米ハイテク企業は昨年来人員削減や株価下落などが続いていたが、「ChatGPT」登場以来、AI関連へ積極投資されるようになり、ハイテク株は上昇している。
■生成AIの光と影
一方で、この生成AI技術の急速な普及は、悪用のリスクも増大させている。
例えば、生成AIによって作られた「声」や画像、動画は見分けがつかず、これを利用した詐欺がすでに発生しており、インターネットの普及が新たな犯罪を生み出したように、生成AI技術も同様の問題を引き起こす可能性がある。
過去には、インターネットが普及した際に、電子メールなどの新しいコミュニケーション手段を利用してウィルスが拡散されたことがあり、マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は、インターネットが一般に普及した後に、消費者のセキュリティーとプライバシー対策を優先する方向転換を行った。
生成AI技術の普及がオフィス業務の生産性向上に大きく寄与する一方で、詐欺や犯罪への悪用も同時に増えていくことが予想され、経営者はこの技術の活用と悪用のリスクを十分に理解し、適切な対策を講じる必要がある。
当面は、生成AIを悪用した詐欺などへの注意が必要で、社内の従業員教育や情報共有を通じて、最新の詐欺手口やリスクに対する意識を高めることが求められる。
また、企業としてもセキュリティー対策を強化し、顧客情報や企業機密の漏洩を防ぐことが重要だ。
さらに、生成AI技術の悪用が規制を生むために制約が増えることも予想され、法規制や業界ルールへの対応など今後の動向に目を向け、適切に対応していくことが必要だ。
AI戦国時代において競争力を維持・向上させるためには、生成AI技術を活用して効率的な業務遂行を実現する一方で、悪用によるリスクを最小限に抑えるバランスを見つけることが重要だ。
======== DATA =========
●Google I/O 2023
https://io.google/2023/intl/ja/