ファッションECサイトの「SHEIN(シーイン)」は、ネット動画サイト「TikTok(ティックトック)」と共に評価額が1,000億ドル以上のヘクトコーンとされ、注目が集まっている。
「SHEIN」は2012年スタートのファッション・ECサイトで、現在150カ国に1億2,000万ユーザーがいる。
豊富な商品数と超低価格が特徴で、女性アパレル商品を中心に1,000〜5,000円の商品が多く、2021年は「ファストファッション」と呼ばれているスペインのZARAやスウェーデンのH&Mなどと肩を並べる、推定200億ドル(2兆9.000億円)の売上(流通取引総額)とされている。
中国の自社倉庫から世界中の顧客に直販(D2C)することで急成長を続けているが、商品のデザインから縫製までを、世界最大規模の生地を扱う中国広州の一箇所で行い、1日に500~2000点の新商品を追加、年間15万点もの商品を発売(ZARAは年1.2万点、ユニクロは年1,000点)しており、「リアルタイムファッション」と呼ばれている。
アメリカで、スマホ・ショッピングアプリのダウンロード数で2021年5月にAmazonを抜いて1位になったことで注目されるようになったが、それ以前から、欧米の「Z世代」と呼ばれる10代後半〜20代前半の女性に利用されていた。
■運営会社
「SHEIN」は、デジタルマーケティングを手掛けていた許仰天(クリス・シュー)氏が2008年に中国・南京市で設立、今年6月からはシンガポールに設立した「ROADGET BUSINESS PTE. LTD.」が運営、アメリカでの上場を目指している。
注目されたことにより「安価な商品が使い捨てを促している」という批判も出るようになったが、それに対して「50〜100着の小ロットで商品を生産し、顧客からのフィードバックを受けたのちに大量生産に踏み切る方法で、従来のファストファッションが抱える大量生産・大量廃棄の課題にアプローチしている」と回答している。
コロナ禍により、試着せずにECで服を買う消費者が増えたことが追い風となり、「かわいい服が安い」「何でも売っている」とアメリカを中心に大ブームとなった。
■日本での展開
日本市場には2021年に進出、日本は「客単価が高く品質に厳しい」「独特の消費習慣を持ち消費者の信頼を得るまでに時間がかかる」と見られていたが、急速に広まった。
10月22日にオープンした大阪・心斎橋の期間限定のポップアップストアには毎日行列ができ、11月13日に東京・原宿にもショールーム店舗をオープンしたが、これは日本の消費者は商品を試着したい、確かめたいという志向が強いためと思われる。
「SHEIN」はアパレルではなくテクノロジー企業と言っているが、卓越したデジタルマーケティングが強みで、アプリを開くと次々とクーポンが表示されるし、宣伝広告費をデジタル周りに集中しており、インスタグラムやtwitterなどのSNSを最大限活用している。
「SHEIN」は中国国内では一切販売せず、欧米の経済的余裕がないがおしゃれを楽しみたい女性をターゲットに成功したが、日本でも成功しつつある。
======== DATA =========
●運営会社:ROADGET BUSINESS PTE. LTD.
https://jp.shein.com/
●Instagram
https://www.instagram.com/shein_japan/
円換算は1ドル=145円計算