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- 第10回 AIが電話で予約
5月8日に開催されたGoogleの開発者会議「Google I/O」の基調講演で、AI(人工知能)が電話で美容院の予約を取るというデモが公開され、衝撃が広がった。
これは「Googleアシスタント」というサービスが実店舗へ直接電話をかけ、空いているスケジュールを見つけて美容院の電話予約をとるというものだ。
このデモは、Googleアシスタントに「美容院を予約して」と伝えると、お店に直接電話をしてGoogleカレンダーから空いている日程を選んで予約をする電話のやり取りが紹介されたが、相手の美容院の人はAIが電話してきたことを全く気づかない様子で自然に会話を進め、日程・日時を調整してカットの予約を終えている。
次のデモはレストランの予約で、電話を受けた人がこちらの言っていることをちゃんと聞いていない様子で、的確な答えが返って来ず、何回かのやり取りのあげく、結局はその日は空きがなく予約できなかったが、Googleアシスタントは臨機応変に対応して無事に会話を終えていた。
Googleがこの機能を搭載した背景には、アメリカの中小店の60%がネットでは予約できず、電話予約のみとなっているという現状があり、これを踏まえて便利に使える機能を提供するという。
自然言語理解、AIによる深層学習、自然な会話の発音などが組み合わされた「Google Duplex」という技術が使われているが、今後は予約のキャンセルなど気の進まない電話はAIに任せる人が増えるのではないかと考えた。
もちろん、予約を受ける側も、今後はAIによる対応が増えると考えられるので、AI同士で予約を受けたり、取り消しを受け付けたりする時代が来るかも知れない。
■AIは名乗るべきか?
このシステムでは、相手が「もしもし」と電話に出てから一呼吸置いて返事をするなどの反応スピードや、あいづち、文脈に合わせてイントネーションを変えるなどを、ディープラーニング(深層学習)で学び、「自然」な会話を実現している。
システムがこのように進化した結果、AIからかかってきた電話なのか、人間からかかってきた電話なのかを見分けることが難しくなるため、AIは「自分は人間ではなくAIだと説明する必要があるのではないか」という議論も持ち上がっている。
今回のAIによる電話予約もその一例だが、技術はある段階で飛躍的発展をする場合がある。
新たな技術をどのように活かすかを考えることも、経営者にとっての大事な仕事になってきた。
======== DATA =========
●Google I/O 2018年 キーノートスピーチ(動画)
電話予約のデモは35分ぐらいから始まる