社内を細分化しても、責任者の意識と行動が全く変わってこないとおっしゃる社長がたくさんおられます。
それでは、どうすれば意識と行動が変わってくるようになるのでしょうか。
図表を見て下さい。
この会社では、営業が180万円で取ってきた仕事を、製造が120万円で下請けしています。
これを部門別採算表に記入してみますと、製造は120万円の社内売上が計上され、購入した営業は120万円の
社内売上のマイナス(仕入)が計上されます。
そして、営業は社外のお客様に180万円で売っていますので、営業のネットの売上は60万円になります。
こんな採算表を作ってみても、時間のムダでまったく意味がないと言われる方もおられます。ましてや、
社内売上を計上しても、プラスマイナスすればゼロじゃないかとおっしゃられるのです。
このようなことを言われる方は、採算表をしっかり理解されておらず、まったくもって残念な気持ちに
なってきます。
採算表の各部門には、必ず責任者がいます。そしてそれぞれの責任者に、あたかも自分が商店を経営して
いるかのごとく数字を見てもらうのです。
例えば、製造の田中さんは、営業の小林さんへ120万円の商品を納めています。つまり、田中さんにとって、
小林さんはお客様なのです。
だとすれば、田中さんは社外のお客様と同様に小林さんをもお客様として扱い、仕事をしていかねばなり
ません。
このことを徹底的に分からせることが大切です。
お客様と思いますと、田中さんの行動が必ず変わってくるものです。
まず、営業の小林さんに気に入られるように行動していきます。そして、社外のお客様がたくさん買って
くれるような新商品を開発したくなってきます。
そこで、営業の小林さんと一緒になって、客先を回ってニーズを聞き出し、市場や客先を攻略したくなって
くるものです。
また、見積書を小林さんに見せて高いと言われたら、もっと製造原価を引き下げるような努力をしていきます。
逆に営業の小林さんは、田中さんを仕入先と考えます。そして、利益を出すために、必要な分だけしか購入
しなくなります。
また、お客様からの値下げの要請に対して、早めに製造に伝えて協力してもらうようにしておくでしょう。
さらに見積書を見て、市場での価格と較べてみるかもしれません。
このように、田中さんが小林さんのことをお客様と思い、小林さんが田中さんのことを仕入先と思い込む
ことによって、責任者の意識が変わってきます。
この意識を経営会議の場において、毎月ぶつけあうことにより、不思議なことですが、責任者の行動も変わっ
てくるようになるのです。