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社員教育・営業

第8号 ”経営が順調な会社”の全員営業の活用法【実践編】

社長のための“全員営業”

 経営が順調な会社は、仕事の取捨選択により新たな営業の余力を生むべし

 
 第8回コラムでは、経営が順調な会社が、どうすれば、現場の忙しさからくる新たな負担増への反発を払拭して、更なる営業強化を実現できるか、そのポイントと始めの一歩についてお話します。
 
 会社が2期以上連続で、右肩上がりの業績になると、同じ人数で営業していれば営業現場は常に繁忙期か、アップアップの状態になりがちです。
 
 しかし、2~3年業績が順調でも、借入金の返済や税金支払等で、利益の大半をもっていかれる中小企業の経営は、それほど余裕がある状態にはなりません。
 
 ゆえに優秀な経営者ほど、このような追い風の時にこそ、数年先を見据えて、次の手を打とうとします。
 
 ここで現場とのギャップが生まれます。
 
 このような状態の会社で経営者が、何か新しいことをやろうとすると、現場から、往々にして、「営業現場は手一杯で、これ以上なにかやろうとするには人手不足です」という声が出てきます。
 
 じゃあということで、新しく人を採用すると、その人の指導に、管理職や営業優秀者の時間と労力が奪われます。もし、会社で人材育成の仕組みが整っていないとすれば、短期的には確実に営業部門のパフォーマンスが下がりますし、その人が定着するかも未知数です。
 
 一方、現場から反発が出ることなく、経営者が出す幾つもの新たな打ち手に素直に従う会社では、順調な業績を生んでいる現在の営業活動のどこかにしわ寄せがいき、既存取引先への訪問頻度やサービスの低下あるいは、うっかりミスや中程度のトラブルが発生する遠因となります。
 
 これらの厄介なところは、経営者の打ち手としては間違っていないということです。にも関わらず、順調な会社の業績にブレーキをかけるに至ってしまいます。
 
 要は、打つ手は正しくとも、順番が違うのです。
 
 経営者からは、業績も営業活動も順調といっても、まだまだ出来ることがあると見えるにしても、現場の認識が、いまのままでも十分あるいは既に手一杯と感じているならば、まず第一段としては、そのギャップを埋めるテコ入れをして、営業現場で新たな活動ができる余地を生み出すことが必要となるのです。
 
 ゆえに、経営が順調な会社では、全員営業でいう5つのノウハウのうち、2番目の「余力を生み出す(密度を増やす)」が特に重要になってきます。
 
 ここで注意事項があります。それは、経営者の顔を立てる管理職ほど、社長から指示があったことを勝手に止めたり、聞き流したりしないということです。そのため、社長自らが、いったん中止するという宣言をしないと、営業部門と現場で行う仕事は、年々、積み重ねっていく状態になってしまっています。
 
 過去の習慣で当たり前のようにやっている活動や、状況が変わったことで以前ほど効果的ではない作業を見直せば、そのことにとられている時間と労力が空いてきます。たとえば、書類やデータを確認するのが目的になっている会議や、上司がハンコを押すだけで一向に活用されない日報などは、現在も散見される典型的なものです。
 
 その範囲内で、経営者からの新しい指示を行う分には、かりにアップアップの状態であっても、仕事の負担が増えているわけではないので、現場からの反発は生まれませんし、営業力も低下しません。ましてや、人数を増やす必要もありません。
 
 このように、全員営業の手法と仕組みを活かせば、長年、点検されることなくやってきている営業活動全体を改めて見直すことができ、さらに営業部門以外でもやりようにやっては肩代わりや権限委譲できることが、幾つも発見でき、その導入も進みます。
 
 結果的に、営業部門を全社的に支援できる体制が整うことで、売上20億~100億円規模で、数多くの業種の会社が、現有戦力のままで人手を増やさずに、顧客サービスを落とすことなく、年商30~50%アップを実現し、継続しているのです。
 
 会社運営や営業活動は、経営システムです。しかし、システムを操作するのは人間です。
 
 ゆえに、理屈だけでなく、人心に配慮した施策が必要となってきます。しかし、経営が順調な会社は、その順調さゆえに、おおざっぱにその点に対処しがちです。
 
 もともと、競争力はあるのですから、きめ細かい配慮さえできれば、今までの延長線上でがんばり続けるやり方ではなく、一段階上のレベルの経営と営業へと進化することが可能です。全員営業は、経営が順調な会社にとって、その実現を手助けするやり方なのです。
 
 これまで第5~8号では業績別に「経営が厳しい会社」と「経営が順調な会社」の全員営業の活用法をお伝えしてきました。しかし、世の中には、もう1種類別の会社があります。
 
 ある種の会社では、該当する営業部門が社内にすでに存在しているとは限らないからです。次回は、限られた経営資源で、会社が新規事業を行いたい場合の全員営業の活用法についてお伝えします。
 
 
 ・今回のポイント(〆の一言)
 全員営業は、営業力の強化のみにあらず。現場が手一杯あるいは危機感が不足の状態でも、営業活動を見直し、余力を生み出せば、一段階上のレベルに発展させることができる。
 

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