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社員教育・営業

第7号 “経営が順調な会社”の全員営業の活用法【問題提起編】

社長のための“全員営業”

 経営が順調な会社で、社長が最も気をつけるべきことは、社内で今の良い業績が今後も自然に続くかのような錯覚に陥ることにある。

 第7回コラムと第8回コラムは、「経営が順調な会社」が全員営業を行う際についてお話します。

 実際の全員営業コンサルティングにおいて、その導入段階においては、経営が厳しい会社よりも「経営が順調な会社」の方が難しいものです。

 前号(第6回)&前前号(第5回)にお伝えした経営が不振な会社の場合は、いわゆる「行きはヨイヨイ、帰りは怖い」で、現状打破には何か手を打たざるを得ないという目的は共有しやすいため、新たな施策の導入であっても受け入れられやすいのです。

その反面、会社そのものが持っている競争力や運用力は、現時点では弱い場合が多く成果につなげるのに負荷がかかります。

経営が順調な会社では逆さまです。

 「始めさえ良ければ、七合目まで成就」と言えるほど導入段階で最大の障害が発生します。

 こうなるのは、2つの大きな理由があります。

 一つ目は、経営が順調であるがゆえに、今は何も新しいことをする必要はないという考えに陥りやすいゆえです。この点は、人が持つ本性に根ざしているので厄介です。

 そのため、現場が優秀な管理職てあったとしても解決を一任するには限界があります。また、ルート営業主体の会社であれば、管理職そのものがそう考えてしまう張本人のことすらありえます。

 二つ目は、現場の忙しさからくる新しいことの負担増への反発です。

 単に、営業現場が、これ以上に忙しくなるのは勘弁という消極的な理由から生じるとは限りません。お客様の要望にもっと応えたいとの想いや営業の効率化を図りたいと建設的に考えようにも、現有戦力の限界から、通常業務をこなすのにすら苦心してしまっている場合にも発生します。

 おそらく、経営者にすれば、まだまだ現場で工夫すれば出来ることがあると思えることでしょう。しかし、当人はおろか時には営業部門全体すら、そういう認識を持ってしまっているのを、それは違うと否定したところで水掛け論になるだけです。

 そのような会社で、「まぁ、そうは言っても、今は経営が順調だから…」と経営者が放置すると、営業現場は受身でお客様からくる仕事をこなす組織体制へ更に移行していきます。

 そのような状態が、2年~3年あるいは更に続くと、大口の取引先がなくなるか、急成長する後発の企業が出てくる等で危機感を持つまで、新しい手を真剣に模索できなくなる危うさが出てきます。

 私の持論では、経営が順調で、業績が良い会社ほど、ローリスクで新しい営業の施策に取り組めると考えています。

 経営が順調な間は、競争力も運用力も競合より高い傾向があるため、施策が動き出しさえすれば成功確率は高く、仮に失敗したにしても、1年以内のトライアルであれば利益と相殺でき、実地の社員教育と会社ノウハウの蓄積を兼ねた建設的な節税とさえも言えるからです。

 特に、二つ目の営業部門の負荷を増やさずに、新しい営業強化を行える点は、全員営業の真骨頂と言えます。次回は、「現場の忙しさからくる新しいことの負担増への反発」を払拭するための方策についてお伝えします。


 【今回のポイント

 経営が順調な会社では、将来への手を打とうとしても、順調であるがゆえの安堵感と繁忙さが邪魔をする。その備えの有無が、新しい施策が動くかのどうかのカギとなる。

 

 

 

 

 

 

 

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