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人事・労務

第11講 やってはいけない部下のほめ方
―スタンフォード大の研究に学ぶ成長マインドセット―

顧客・社員・社会から支持される「ウェルビーイング経営入門」

組織でグロース・マインドセットを育てる意味

 グロース・マインドセットが育っていけば、新しい課題にも、チャレンジ精神をもって取り組んでくれるようになり、新たなアイデアや手法が生まれやすくなります。また、失敗や困難があっても前向きに成長を続けていきます。また、ネガティブなフィードバックを受けた時にもへこたれずに頑張れる点も、グロース・マインドセットの特徴とされていますから、上司としては、とても関わりやすい人材と言えます。

 近年、市場環境の変化が激しくなる中で、企業には新しい挑戦が求められています。それに伴い、従業員にも経験したことのない仕事に取り組む機会が増えるでしょう。その時、恐れずに一歩を踏み出し、柔軟に対応ができるかどうかが、大きなポイントとなります。グロース・マインドセットを持った人材の育成は、企業の重要な課題なのです。

 

具体的な方法は?
(1)グロース・マインドセットの考え方を共有する

 グロース・マインドセットを育むためには、周りの影響がとても大きいわけですから、組織全体でこの考え方を共有することが大切です。まずは、経営者、管理職から、グロース・マインドセットの重要性を理解し、それを育てるようなかかわり方を率先してやっていきましょう。


(2)褒め方のルールを設定する

 グロース・マインドセットにしろ、フィックスト・マインドセットにしろ、いわゆるマインドセットと呼ばれるものは、長年の自分の思考習慣であり、いわば、脳の自動的な動きです。これを、自分の力で変えていくことは難しいものです。だからこそ、上司や、一緒に働く同僚たちの関わり方が重要になってきます。

 具体的には、仕事上で、誰かが成功したときに、「能力」のみを褒めるのではなく「努力」「過程」を必ず褒めるように、会社やチームの決め事として設定してしまう方法もお勧めです。このような決めごとは、従業員を統制するための(時には悪く評価するための)堅いルールではなく、会社の好ましい文化/カルチャーを作っていくためのもので、ぜひ積極的に運用してほしいものです。


(3)見えない努力の過程に目を凝らす

 なお、ここで、グロース・マインドセットを育てるための大事なポイントがあります。
 それは、過程を褒めるためには、そもそも、上司やメンバーが、その過程を知っておく必要があるということです。
 メンバーにチャレンジさせておきながら、その過程や努力に目を向けず、数字の結果ばかりに注目していると、成果を上げた時にも、結果しか見えません。過程を見ていないからです。これでは、グロース・マインドセットを育てる関りはできません。

 大事なことは、普段から、メンバーの結果だけでなく、仕事の過程な小さな努力にしっかり目を向けておくことです。本来、仕事は、小さな努力の積み重ねです。人には見えない努力や苦労が誰にでもたくさんあるはずです。上司の役割は、その苦労や努力を、目を凝らして見届けることなのです。その見届けた努力の過程を、しっかり褒めるようにしましょう。 
 このような関りがあれば、相手のグロース・マインドセットを育てるだけでなく、自分の小さな努力を見てくれていたことにメンバーは気が付いて、信頼関係も大いに増すでしょう。

 

まとめ

 グロース・マインドセットは一朝一夕で育つものではありません。すぐに効果が実感できなくても、中長期的な視点で続けていくことが必要です。ただし、その努力を続けて、組織の文化に育てていけば、ひとりひとりがチャレンジ精神にあふれたグロース・マインドセットをつかみとり、一緒に長く成長していける組織になっていくでしょう。

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