menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

人事・労務

第23講 稲盛和夫氏の哲学を、ウェルビーイング経営の観点から読み解く

顧客・社員・社会から支持される「ウェルビーイング経営入門」

「敬天愛人」——利他の思想が導く持続可能な経営

 稲盛氏が座右の銘とした「敬天愛人」は、天を敬い、人を愛するという西郷隆盛の言葉です。稲盛氏はこれを「自分のことよりも他者のことを優先する利他の精神こそが、経営の根本である」という信念に昇華させました。

 利他の経営は、短期的には非効率に見えることがあります。しかし、ウェルビーイングに関する研究が一貫して示すのは、「他者への貢献感」こそが個人の幸福度を最も安定的に高める要因だという事実です。自分の仕事が誰かの役に立っているという実感は、給与や地位よりもはるかに強く、自らの貢献実感や喜びを生み出し、結果として人を職場につなぎとめます。

 言い換えれば、稲盛氏の利他思想を経営に実装するとは、従業員が「自分の仕事は社会や顧客の役に立っている」と実感できる物語を、経営者が丁寧に紡ぎ続けることを意味します。それはいわゆるCSR活動のような対外的な取り組みではなく、日々の業務の意味を語ることから始まる、内向きの、自分たち自身のための大切な営みそのものです。

 

経営者自身が「人間として何が正しいか」を問い続けること

 稲盛哲学の最大の特徴は、経営の問いを人間の本質にまで引き戻す点にあります。「人間として何が正しいか」——この問いは、ともすれば抽象的に聞こえます。しかし経営者が日々の判断の基準をこの問いに置くとき、組織の中に静かな変化が起きます。

 ウェルビーイング経営は制度論ではありません。フレックスタイムや健康診断の拡充が、従業員の幸福を保証するわけではありません。稲盛氏が示したのは、経営者の哲学と人格が、組織の空気を決定するという確かな現実です。

 翻って、この記事をご覧の経営陣のみなさんは、いったい何を軸に経営に望んでいらっしゃるでしょうか。自社の従業員が幸せであることを、本気で願っているでしょうか。その問いへの答えが、ウェルビーイング経営の出発点であり、稲盛和夫氏が半世紀をかけて実証した経営の本質でもあります。大きな変化の時代を乗り越えるには、ウェルビーイング経営と稲盛哲学の本質がきっと役に立つでしょう。

1 2

3

第22講 石油の前に水が枯渇?―ウォーターポジティブに学ぶウェルビーイング経営の観点前のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連記事

  1. 第8講 多様性とウェルビーイングが価値を生み出す時代、組織力は〇〇力に比例する

  2. 第18講 甲子園名門校の不祥事事案に学ぶ
    ウェルビーイング経営の本質

  3. 第13講 社員の名前を呼んでいますか?優れた経営者はネームコーリング効果を活かす

最新の経営コラム

  1. 「展示会の見せ方・次の見どころ」(2026年8月)

  2. 第58講 カスタマーハランスメント対策の実務策㊺
    『担当者の個人情報を守る』第1部

  3. 第200回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方124『定着率を高める入社後フォローの仕組み』

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 社員教育・営業

    第34話 成長課題 管理職の部下育成術(34)
  2. マネジメント

    朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2025年12月3日号)
  3. マネジメント

    第298回「好き嫌い」と「楽か辛いか」
  4. 採用・法律

    第65回 子供に自社株を譲るときの注意点
  5. 戦略・戦術

    第236号 地方企業こそ、協業と公的支援の活用を
keyboard_arrow_up