後継者や右腕となる人物を選ぶ場合は、社内での評判、特に下からの評判をチェックすることも多いが、
その際注意を要するのは、評判の良さが 「人望」からくるものなのか、「人気」からくるものなのかということである。
某大手銀行が、一般社員を対象に“付き合いたい上司のタイプ”についてアンケートをとったが、ベスト8は以下の通りであっ た。
(1) 決断力のある上司
(2) 仕事に熱心な上司
(3) 自分の考えをしっかり持っている上司
(4) 自信を持っている上司
(5) 面倒見のよい上司
(6) 人情味のある上司
(7) 太っ腹な上司
(8) 気さくな上司…
なるほどと思う反面、よく見ると、(1)や(2)といった答えは尊敬の念や人望からきているのに対して、
(8)となると、人気から の回答であることがわかる。
下の評判がいいといっても、よくチェックしたところ、飲みやゴルフに連れていってくれるからといった、
人気取りゆえの評判だったりすることもあり得るの だ。
指導者に求められるのは、「人気」ではなく「人望」である。
外の評判にしても同様。例えば、「お宅の営業マンは一生懸命やってくれる」と評判がいいとしよう。
だが、会社のためにならないような妥協をしてまでも、 外面を良くしているということもあるかも知れない。
会社の利益にとって実はマイナスということはないだろうか。私は、こうした人物に何人も出会っている。
反対に、「お宅の担当は融通が利かない。何とかしてくれ」 と苦情を頂戴し、本人を呼んで聞いてみたところ、
会社によかれとの判断から、得意先の無理な要求に応じていないだけというケースもあった。
人選にあたっては、内外の評価が重要なチェックポイントだが、
「評価の中身」をよく吟味しないと、フェアではない評価になってしまうこともあるのだ。
後継者や右腕を選ぶに際して、最後は、相性も問題になってくる。
意見が違っても、気質が違っても、性格が違ってもいい。
私は自分の片腕を選ぶ時、基本的なところで“相性が合っている”ことを重んじてきた。
ただこの点については、本人がいくら努力してもかなわない面があることは、知っておいてもらいたい。
新 将命