4 経営者の持つべき視点と問い
では、ここで皆さんにお尋ねします。
・ご自身の会社では、どんな感情があふれ、循環していますか?
・もし、従業員たちの感情を全て可視化できたとしたら、いったいどんな感情が多く、どんな感情が少ないのでしょうか?
・従業員たちの頭上に漫画のように吹き出しをおいて、そのなかに感情の言葉がどんどん書き出されたら、いったいどんな感情たちが飛び出すのでしょうか?
・職場の感情をポジティブ感情優位にしていくために、どんな施策をとっていますか?
こんな問いをもって、経営に取り組むと、持続的に会社を発展させることが可能となります。
5 職場のポジティブ感情を高めるためにできること
ポジティブ感情の波を職場に広げることは誰にでも取り組めることです。しかし、数多くのマネージャーや経営層においては、まだまだそこに取り組んでいないケースもあるようです。
ここで、職場にポジティブ感情を広げる、と言うと、なんだか大きなことをしなければならないように感じられるかもしれませんが、実はそうでもありません。
効果的な方法はたくさんありますが、例えば、シンプルに、上司が部下への1オン1ミーティングやコーチングの時間に部下の長所を励ますだけでも、大きな効果があります。
質の高いコーチングを実施したり、互いをほめあう習慣ができると組織の生産性が上がることは様々な実験で実証されています。ある研究によれば、部下を頻繁にほめて励ますマネージャーのチームでは、めったに部下を褒めないマネージャーのチームと比べて、業績が31%も高いというデータがあります。長所をほめる効果はある程度予想できますが、31%もアップするとなると、見過ごすことができないインパクトがありますね。
さらには、これらの研究の中には、上司から自分の長所を頻繁に褒められたときの仕事に対するモチベーションの上昇率は、給料が増えた場合のモチベーションの上昇率を超える、といデータも複数あります。
ポジティブ感情は、まさに、働く人の報酬としての機能を持っていることがわかります。