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第236号 社長が生徒になると部下が育つ

柿内幸夫─社長のための現場改善

 日差しが強くなって来ましたね。下の写真は私の自宅付近のジョギングコースです。幸いにも、自然の屋根付きですので、ランニングもすこぶる快適です。

kaki236-1.jpg さて、本題に入ります。「ナゼ改善が必要か?」というテーマの中で、今回は先回に続いて「人を育てるから」の後半をお話しします。

 1. 世の中の変化は止まらないから。
 2. 工場の中に変えられないものはないから。
 3. 人を育てるから。
 4. 経営を支えるから。

 それでは、先回も出したラーニングピラミッドの図を再び載せます。この図は、「人は何によって育つか」を示したものです。

kaki236-2.jpg

 先回は、このラーニングピラミッドのなかの「グループディスカッション」によって、人間の学習効果がかなり上昇することまで説明しました。つまり、いろいろ見たり聞いたりしたところで「分かった!」としないで、それぞれがいろんな意見を交わすことで理解度が50%にまで上がるのです。

 これは、人それぞれのモノの見方の違いなどを議論することで、表面的な理解がより深まるからでしょう。「なるほど、確かにそうだね」という感じがあれば、理解は確実に深まリますから。

 そこで今回は、グループディスカッションで盛り上がったついでに、すぐやってみることをしてみましょう。理解は深まっても、そこで終わってしまうと教養講座になってしまいます。

 もちろん教養は大切ですが、ここでの目的は「改善を実行して経営力を付けること」ですから、あと一歩がほしいのです。

 この「すぐやってみる」は本当に重要なことで、私は改善という仕事をしている中で一番重要なことは、まさにこの一点だと思っています。

 どんなにいいことを考えていても、実行しなければ何も起きません。しかし、不十分なレベルの考えであっても実行してみれば、その過程でいろいろなアイデアが湧き出てきます。

 すると、不十分な部分が分かったというだけでなく、それをはるかに上回るような、誰もが思いつかなかったようなすごい結果にたどり着くということは、よくあるのです。

 冗談ではなく、最初は全くそんなことを考えていたわけではないのに実行を繰り返していくうちになんだかすごいことになって来て、最後はとてつもない結果に結びついてしまいます。

 コンサルタントの私がそのすごさに腰を抜かした(大袈裟に聞こえると思いますが、これが本当の気持ちです)ことが何度もありました。

 「案ずるより産むが易し」とは本当にその通りだなと思います。ちなみにこのことわざの意味は「心配するより、実際にやってしまった方が簡単である」ということです。

 もし、このようなことが起きたとすると、それをやった人はすべての過程をご自分でやったのですから、一番の理解者です。しかも、誰もが知らないことをやってしまったのですから、明らかに第一人者です。

 すなわち、すぐやることが、この人を育てたと言えるでしょう。しかし、こんな大きなことでなくても、すぐにやることによって大きな学びがあることは間違いがありません。

 さて、再びラーニングピラミッドの図をご覧ください。この段階で人は75%も理解を進めました。「これで大丈夫!」といってもいいレベルなのですが、実はここでやめてしまうともったいないのです。

 なぜなら、あと一つすごいやり方があるからです。それは、その人のやった成果を改善発表会で発表してもらうことです。

 改善発表会で発表するということは、その人がそこに出席している社長や上司仲間、そして部下たちに自分がやったことを教えるということです。すなわち、いつもは社長が上司で自分は部下ですが、この場では社長は生徒で自分は先生です。

 人にモノを教えるのは簡単ではありません。何日もかけて実行したことを、わずか数分でまとめなければなりません。

 また、早口だったり声が小さかったりしたら、理解してもらえません。あるいは、いろいろなことを準備する必要があります。

 しかし、そのようなことを乗り越えて自分の考えをまとめて発表することで、その人の理解は万全になるのです。もし社長が発表の直後に「その次はどうするんだい?」と質問されたら、即座に答が出るでしょう。

 ここまで来ると、ほぼ完ぺきです。ラーニングピラミッドの図では、90%です。すなわち、やってみるということは、対象を目で見て、手足を動かして、耳で聞いて、口を使って会話をして…というように、私たちが持つ能力をほぼフル活用します。

 そこから出て来る発想は絶対に活用するべきです。知識を得た段階で分かった気になってしまうことはしばしばありますが、それは頭でその現象を理解できたというだけであって、現在の厳しい世の中の変化に対応できる仕事をしたということにはなっていません。

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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