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人事・労務

第121話 真の能力主義に対応する等級別本給表

「賃金の誤解」

企業とは社長から始まり、指示命令と報告が速やかに往来する職制準拠の構造体であり、職種を束ねる各部には課があり、係へとその役割は細分化されていきます。典型的な中堅企業を例にとれば、仕事のための責任等級は職種を考慮しても6段階になると第120話でお話ししました。

仕事の責任の重さは6段階の等級に定義されたのですから、つぎは誰にその責任仕事を担当してもらうかを決め、その人の習熟、経験、実績等を判断し、基本給を決めねばなりません。

社員一人ひとりの基本給を正しく決めるためには、分かりやすく、運用しやすく、永く使える本給月額表が必須です。この本給月額表は責任等級ごとに作られた6つの賃金表の集合であり、6等級それぞれのスタート金額つまり初号値を決めます。

特にⅠ等級の初号値は就労が認められる最低年齢15歳(労働基準法56条)であり、この金額がわが社の最低賃金です。

次に号差金額(昇給1号の値段)を定めます。この号差金額は下位等級から順に1.25倍に設定します。初号値にこの号差金額を順次加算することで賃金表は出来上がります。そして基本昇給ゾーンでの年ごとの昇給号数は評語A=5号、B=4号、C=3号とします。

Ⅰ等級初号で入社した最年少新人の初回の昇給は4号分(号差金額×4)としますが、「きわめて優秀と評価される社員」の昇給はA=5号×号差金額がルールです。A=5号昇給を重ねる優秀社員は5年間昇給を重ねて上位等級に昇格できると定めます。この順調に昇給し、タイミングよく昇格を重ねる優秀社員が「Aモデル社員」であり、年ごとにA=5号昇給を重ね、上位等級初号に昇格するまでの期間が「在等級年数」であり、上位等級に昇格までに必要な年数は等級別に定めます。

15歳入社の優秀社員が年ごとに号数を重ね、20歳でⅠ等級25号に昇給し、同額表示あるいは直近上位金額(以後省略)のⅡ等級初号に昇格できると定めます。続くⅡ等級の在等級年数も5年ですからA=5号昇給×5年なので26号となり、同額表示のⅢ等級初号に25歳で昇格します。Ⅲ等級の在等級年数も同じく5年ですから30歳でⅣ等級初号に昇格します。そしてⅣ等級およびⅤ等級の在等級年数は管理職への登用ですから、6年と定めます。これがオールAモデル社員の在等級年数を5年5年5年6年6年と定めている企業の昇格のルールであり、本給月額表の仕組みです。

こうして15歳入社の優秀なモデル社員は18歳の高卒モデル社員と共に20歳でⅡ等級初号に昇格します。そして22歳となり、Aモデル社員がⅡ等級11号となった時に大学卒の新人を迎えます。期待の大学卒ですから11号より1号上のⅡ等級12号で採用します。ただし最初の昇給は大卒であっても4号昇給がルールですから、翌年23歳の時には中学卒、高校卒、短大卒のAモデル社員はともにA=5号昇給しⅡ等級16号となり、大学卒社員と同等級同号数に並ぶことになります。

そして25歳になったAモデル社員は学歴を問わずⅢ等級初号に昇格します。それから5年、さらに昇給を重ねるAモデル社員は30歳でⅣ等級初号に昇格します。これから先は、優秀(Aモデル)社員であっても在等級6年、36歳でⅤ等級初号に昇格します。そして6年、誰もが認める実力課長は42歳でⅥ等級初号に昇格し、実力部長として活躍することになります。そして数年後、オールA社員は次世代を担う役員に登用され、真の能力主義のストーリーを描きます。

ただし実在社員で相当優秀であっても評語Aを採ったりBだったりしますからオールAモデルよりは遅れて昇格します。本給月額表を用いて、昇給後の号数(本給額)を確認し、同額が表示されている上位等級の新たな号数に昇格するルールは変わりません。

 

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