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愛読者通信

「多角化を成功させて、いい会社をつくろう」
山地章夫氏(ヤマチユナイテッド代表)

「愛読者通信」著者インタビュー

 葡萄の房のように、本業を中心に1社数千万円から数億円の新会社を次々に設立し、利益10億円、毎年10%以上の成長を続けるヤマチユナイテッドグループ。
 今、日本の中小企業で一番、多角化に成功している経営者と言われる同グループ代表、山地章夫社長に多角化を成功させるポイントについて、お話をうかがった。

山地章夫(やまちあきお) 氏
ヤマチユナイテッド 代表 

日本で最も多角化に成功しているオーナー経営者
父の会社を引き継ぎ倒産寸前となるも、50社超の会社を次々と作り上げる。グループ総売上160億円企業の代表。利益10億円、毎年10%以上の成長を続け、実質無借金経営。
氏の卓越した経営手法を学びに、全国から多くの社長が訪れる。特に、幹部育成の仕組みと経営技術。若手をやる気にさせる手法。グループ子会社の任せ方。儲かる新事業の見つけ方…など、目から鱗の経営手法として注目されている。

 


Q:多角化についてネガティブな見方をする経営者がおられますが、山地社長は逆に、今のような変化の激しい時代には、一つの事業だけでは危うい、とお考えになっているようですが…

 そのとおりです。多角化に対してネガティブな経営者は、過去に失敗した人や先輩や金融機関から「本業に徹するべき」と言われた、など、いろんなケースがありますが、経営者ならば、人から言われたことをそのまま鵜呑みにしないほうがいいと思います。
 ただ、「多角化を始めるような時期じゃないよ、もっと本業で力を蓄えるべきだ」と良いアドバイスをしてくれている場合もありますから、一概には言えませんが、もし10年以上、既存事業に専念していて、思うように成長できない場合は、その事業そのものの賞味期限が過ぎている可能性が高いので、その場合は、いつまでも本業に固執するのではなく、新しいことにチャレンジすべきでしょう。
 ひと口に多角化といっても、既存事業に近いものをやるとか、少しだけ変えてみるとか、小さなリスクでチャレンジできる事業がいくらでもありますから、多角化そのものを否定すべきではないと思います。
 今儲かっている会社をよく見てみると、多角化で業績の底上げをはかっている会社が実に多いですから。

 

Q:多角化を成功させるポイントをいくつか教えていただけますか?

 『連邦・多角化経営』では、多角化を進めていく上で、いくつもの大事なポイントを解説しましたが、今から多角化に取り組む経営者に、最初にアドバイスするとしたら、「小さく始めて、大きく育てる」、つまり、うまくいくかどうかテストしてみて、いけそうなら、その事業にヒト・モノ・カネを投入するというやり方です。
 このやり方なら、屋台骨を揺るがすような失敗はしないでしょう。
 それと、新事業を始めるときは、社員に、本業との関連性や新事業を始める目的をしっかりと説明することです。
 たんに社長が「いや、この事業は俺の昔からの夢だったんだよ」と言っても、社員は応援してくれません。
 社員は「なんでこんなことを始めるの?」と疑心暗鬼になって、その状態で、社長から「やれ」と命令されると、やらされ感一杯になってしまいます。
 新事業の仕事も、徐々に社員に任せていかなければならないので、立ち上げる時点で、社員を巻き込んでいくことが、多角化を成功させる大事なポイントになります。

 

Q:今後も多角化を進めていくおつもりですか?

 私は父親が札幌で経営していた建材卸の会社を継ぎましたが、本業に将来性がなかったので、入社してすぐに新事業に取り組みました。
 30年たって現在、50事業となり、グループ売上180億円、社員は600人を超え、多角化をはかる目的が昔とは大きく違ってきました(2018年7月)。
 今は「100の事業を成功させる」「100人の経営者を創出する」「100事業×利益1億円=利益100億企業になる」「100年以上続く良い会社を創る」という当グループの「ザ100ビジョン」のもと、若い社員が活躍できるステージをたくさんつくるために積極的に多角化を進めています。変化の激しい今、探せばアイデアやチャンスはいくらでも見つかりますよ。

(聞き手/丹野悦子)

「愛読者通信」(2018年7月)掲載

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