飲料水はお金を出して飲む時代。飲料市場は成熟市場になりつつあるが、独自の個性的な商品を開発、販売している中堅メーカーが千代田珈琲インターナショナル株式会社(本社・東京都文京区)である。同社は独自のこだわりとブランドづくり、独特のモノづくりに挑戦し、アイデアをフルに活かした販売促進を展開している。珈琲と清涼飲料水の製造販売を手がけている。
同社の事業内容は食品(珈琲と清涼飲料水)の卸業・小売業、珈琲に関連する器械の販売、食品の輸入業である。代表の千代田行麿社長(66歳)が定年前の早期退職で12年前に起こした脱サラのベンチャー企業だ。同氏は大手スーパーマーケットのレストラン事業、ゴルフ場事業、キャラクターグッズ販売事業などの開発・営業を経験し、子会社の代表取締役を経験した起業家である。
アメリカ人の珈琲文化に魅了され、日本で珈琲文化を提供したい、というのが起業のきっかけ。さらに、珈琲職人の名人との出会いももう一つの理由である。珈琲豆の鮮度と風味(香り)が美味しさのカギと判断し、少量ずつの焙煎から始めた。珈琲職人の手づくり感で商品開発を仕上げている。ブランド「千代田珈琲ブレンド」(卸業で販売)と「贅沢珈琲・行麿ブレンド」「贅沢珈琲・桐の花」の三つの商品を扱っている。
「贅沢珈琲・行麿ブレンド」は通販(自社のHPが主力)で販売。1袋(50g)を10セットし、5000円(税別、市販価格)で販売している。「贅沢珈琲・桐の花」は歌手・さだまさし氏がプロデュースした商品で5年前から販売している。「濃く淹れても、薄く淹れても、美味しいね 。 毎日飲みたい」という、さだまさし氏の意見を取り入れたドリップ式商品である。
同社のもう一つのブランド商品は清涼飲料水「植物からのおくりもの やわらかミネラルグッセイウォーター」(2リットルPET、500円税抜き)でスーパーマーケットや有名百貨店で販売されている。26種類以上の天然の野生植物か羅ミネラル成分を独自の方法で抽出したものを原料とし、清涼飲料水をつくり上げている。
代表の千代田行麿社長は社員に対して、「頑張らない、諦めない、夢を捨てない」を繰り返す。一つの商品を消費者に知ってもらうには長く訴え続ける姿勢が最も重要だと言い切る。経営信条としては「物事は成就するまでやろう」を持つ。成熟市場に真っ向から挑戦する姿勢はベンチャースピリッツが旺盛だ。同社は独自のブランド戦略、独特のモノづくりに徹している。
上妻英夫