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第36話 「自創経営における人格能力の育み その6 思考方法編(3)」

東川鷹年の「中小企業の人育て」

自創経営とは、業績を上げ続け、社員が安心して働き続けられる強い会社を創るために“任すから任せるに足りる人”を育てる『仕組み』です。

この『仕組み』は仕事人間として単に職務遂行能力を高めるだけの社員を育成するだけではなく、自らの人生をより豊かにする事ができ、かつ会社や社会に貢献できる“人格能力”を高めるために、仕事を通じて人間的に成長する『仕組み』となっています。

この“人格能力”の土台となる脳力開発には大きく分けて3面あり、その中の第2面が『思考方法(モノの見方・考え方)』です。

いくら第一面の心構えが立派でも、「考え方」が偏っていたり、ゆがんだりしては、より良い結果を出す事は出来ません。

この「考え方」も、その人の「行動」に表れていると考えられます。人の「行動」を観て、どのような「考え方」でいるかを判断することができます。

第2面の『思考方法(モノの見方・考え方)』には5つあり、3つ目の指針は、『立場・観点を整理し多角度から考える』です。
判りやすく言えば、「常に相手の立場やまわりの立場も考える」のです。

この指針の反対面となる“良くない考え方”が、『一方の立場からしか考えない』です。
簡単に言えば、「自分の立場だけにとらわれてしまう」考え方です。

立場とは、「自分の立ち位置」と言えます。その立場には、同時に“役割”というものが存在します。

立場・観点を整理し・・・とは、自分の役割を正しく認識することとでもあるのです。

ここでの具体的な考え方の手順は、

【1】 相手の立場を考える。

【2】 相手の立場から見た自分の立場を考える。

【3】 相手の立場が自分の立場における役割として
   「何を期待しているのか?」を考える。

【4】 その期待に応えるために、どうすべきかを考える。

という順序で考えることが大切です。

また、相手の立場における役割というものもありますが、相手に期待するというよりも、まずは、こちらが相手の期待に応える努力をすることが先決です。

具体的な例として、
【1】 相手は『お客様』という立場である。

【2】 『お客様』という立場から見た自分の立場は『営業マン』である。

【3】 『お客様』という立場の人は、『営業マン』という立場の人に対して、
 「どのような価値を提供してくれるのだろう?」と期待しているはずである。

【4】 「その期待に応えるには、どのようにすれば良いのか?」を考える。

といった考え方が成り立ちます。

相手の期待に応えることが出来れば、相手もこちらの期待に答えようとしてくれるのは、人としての「情け」といえます。

これを良くない例として、「一方的な立場からしか考えない」場合、

自分は、営業マンという立場である。よって、売上を上げることが役割である。売上をあげるために、どうすれば、売れるのであろう・・・?

ここには、登場人物は自分1人しかいません。極端な例ですが、商品を買って頂ける相手の立場が抜けてしまっています。

近江商人の家訓の一つに、『三方良し』という言葉があります。「売り手良し。」「買い手良し。」「世間良し。」の3つです。
売り手だけや買い手だけが利を得る商売は成り立たないですし、売り手と買い手だけが良くても、社会的に貢献しない商売では、必ず衰退し、長続きはしません。

自創経営の人財育成では、高い目標を設定し、その目標を達成するための計画を立てる際に、自分の立場だけ考えるのではなく、お客様や、一緒にはたらく仲間、部下や後輩など、関わる人達の立場も考え、その人達のお役に立ち、「お互いがより良くなっている状態とはどのような状態か?」を考える人を育成することを重要視しています。

その計画の中身を、管理職を中心に、各社員が“成長対話”を行い、
「お互いにより良くなっている状態とはどのような状態か?」
「そのための方法は適切か?」
「他のやり方がもっとあるはずでは?」
などと話し合い、「お互いにより良くなっている状態」という成長課題を明らかにし、その課題解決方法を一緒に考える『仕組み』となっています。

その『仕組み』の要が【目標管理チャレンジシステムの仕組み】で、《チャレンジシート》と《ランクUPノート》というツールを活用します。

経営目標を必達し続ける『強い会社』を創るために、全社員が常に、相手の立場から見た自分の立場に対する期待を考え、そのに応える方法を考えて行動する社員の育成が、事業を長期に渡り、発展させ続けることにつながるのです。

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