menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

採用・法律

第115回 「物流の2024年問題」(2) ドライバー不足による影響は?

中小企業の新たな法律リスク

スーパーマーケットを経営する伊藤社長は、前回(第114回)で、賛多弁護士に、「物流の2024年問題」、そのうち特に荷主が取り組むべきことについて相談していました。今回も、前回同様、「物流の2024年問題」について相談しています。

* * *

伊藤社長:賛多先生、前回のご相談はありがとうございました。

 

賛多弁護士:「物流の2024年問題」について理解できました?

 

伊藤社長:おかげさまでそれなりに理解することができました。物流事業は、適用が猶予されていた自動車運転業務に関して、来年4月以降は特例付きで時間外労働の上限規制が適用されることになります。そのため、1人当たりのドライバーが稼働できる時間が現状より減るため、物流が滞るのではないかと言われているということですね。

 

賛多弁護士:そのとおりです。

 

伊藤社長:前回は、「物流の2024年問題」に対する荷主としての取り組みについてご相談しました。私はスーパーマーケット会社の社長ですので、もちろん荷主として2024年問題に協力したいと思っていますが、そもそも、物流業界にはどのような影響があると考えられていますか?

 

賛多弁護士:「物流の2024年問題」は、法律的には、時間外労働の上限規制が適用されるため、1人当たりのドライバーが稼働できる時間が現状より減るという問題です。そのため、物流業者は、全体で現在と同じだけのドライバーの稼働時間を確保しようとすればドライバーを増員しなければなりません。したがって、物流業者は、ただでさえ人手不足というのに、さらにドライバー不足に陥るということになります。

 

伊藤社長:なるほど。そうすると、ドライバーの需要が増えて人件費が増額、それが運賃に転嫁されるかも知れないですね。

 

賛多弁護士:おっしゃるとおりの指摘がなされています。さらに、もし、1人当たりのドライバーの稼働時間が減ることにより全体の稼働時間も減ることになった場合、運賃が現状と同じと仮定すれば、物流業者の売上は減ることとなります。この観点からも、物流業者は、売上を維持するために、運賃を上げざるを得ないのではないかと言われております。

 

伊藤社長:運賃が増額すれば、われわれ荷主としても他人事ではありませんね。

 

賛多弁護士:そうですよね。もちろん、実際に2024年4月になってみなければ、業界の状況がどのようなるかは正確には分かりません。いずれにせよ、2024年問題への対応として、ドライバーが不足する物流業者はもちろん、荷主も運賃の増額等に対応するために、業務を効率化する必要があることは間違いないと思われます。

 

伊藤社長:前回の相談とつながりました。わが社でもどのようなことができるか検討してみます。ところで、私は一消費者としても物流のサービスを受けているのですが、どのようなことで協力できると考えられますか。

 

賛多弁護士:そうですね、それほど急ぐわけでもないのに急ぎの注文をしたり、商品が配達されたときに不在にしたりしていると、運送会社は業務が非効率になります。急ぎの注文をしない、配達されたときに確実に受け取るまたは置き配にする、というようなことで協力できるということは言われております。

 

伊藤社長:基本的には、物流のサービスを受けるときには、無駄を減らして効率的に行うということですね。

 

賛多弁護士:おっしゃるとおりです。荷主企業だけでなく、物流のサービスを利用する消費者においても、意識改革、そして、効率的な物流のサービスの利用が求められると思います。

次のページ

1

2

第114回 物流業界の2024年問題。荷主が取り組むべきことは?前のページ

第116回 『経営理念って何?』次のページ

関連セミナー・商品

  1. 慌てない・もめない・負けない経営

    慌てない・もめない・負けない経営

  2. 大増税からオーナー社長を守るCD・DVD

    音声・映像

    大増税からオーナー社長を守るCD・DVD

関連記事

  1. 第128回 従業員に対する2つの配慮義務

  2. 第11回 『「働き方改革」の年次有給休暇の確実な取得とは?』

  3. 第103回 「賃金のデジタル払い」

最新の経営コラム

  1. 第115回 経理の新入社員と若手社員の育て方

  2. 第135回 妙見温泉(鹿児島県) 鄙び宿の泡付き湯と洗練宿の絶景露天

  3. 国のかたち、組織のかたち(41) 鉄道は国営か民営か(下)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 教養

    2012年5月号
  2. 採用・法律

    第14回 『円滑な事業承継を実現させるための相続対策とは?!』
  3. 健康

    第44号 「感情のコントロールが上手な人」
  4. マネジメント

    第三十話 皆で理念を共有しよう(サンテ・コーポレーション)
  5. 製造業

    第273号 日本のモノづくり、来年の展望
keyboard_arrow_up
menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ