昨年末、与党から税制改正大綱が発表されました。
衆院選の選挙結果の影響からか、
今年は、例年よりも大綱の発表が遅れ、
年末ギリギリの公表となりました。
早速、内容ですが、
税制改正があるたびに、いつも触れている
即時償却については、一部を除いて、
2027年(R9年)3月末までの延長が発表されました。
これはよかったですね。
投資を実行される経営者、あるいは、
これから投資を検討される経営者は、
是非とも活用を検討してください。
その他については、正直なところ、
法人税に関しては、大きな動きはありませんでした。
ということで、今回は、
Ⅰ.即時償却、特別償却の延長と改廃
Ⅱ.投資に伴う固定資産税の減額(要件)
この2つについて、詳しくみていこうと思います。
Ⅰ.即時償却、特別償却の延長と改廃
基本的には延長ですが、3つ変更点があります。
1.C型の廃止
C型というのは、デジタル化設備と言われるもので、
コロナショックの当初に作られた制度です。
・遠隔操作
・可視化
・自動制御化
三密回避を目的とする
設備投資については、即時償却を認めましょう、
となっていました。
このC型は、大変使い勝手がよくて、重宝していました。
特に、システム関係の投資は、このC型で申請すると、
比較的、手間をかけずに、認定がとれていたのです。
25年4月以降に、システム投資をする場合は、
B型で申請することになります。
2.B型の投資利益率 5% から 7%へ
B型で申請する場合は、投資金額に対して、リターン(キャッシュフロー)が
5%以上出る計画でないと、認められませんでした。
今回、その基準が、5%→7%にUP
申請する側にとっては、ちょっとしたデメリットです。
ただし、これまでの流れでいけば、
7%以上の利益率が確保できると申請していて、
実際には、その利益率に達しなかった、
という場合でも、ペナルティはありません。
よって、5%→7%になっても、
実質的な影響はないと考えてよいでしょう。
3.100億円企業を目指すための投資優遇制度が新たにつくられました
対象企業としては、売上高が10億超~90億円未満で、
次の2つを目指す会社です。
(1)売上高100億円超
(2)年平均10%以上の売上成長率
投資金額について条件もあります。
設備投資額が「1億円」あるいは「売上高の5%」の
いずれか高い金額以上
対象設備として、
・機械装置 160万円以上
・工具器具備品 30万円以上
・ソフトウエア 70万円以上
・建物およびその付属設備 1,000万円以上
※医療保健業が取得するもの、発電用設備(売電)は、対象外
おやっ?と思われる方がいらっしゃると思います。
対象設備に、「建物」が入っています。
「建物が即時償却できるのか?」と思われるかもしれませんが、
残念ながら、建物は、100%の即時償却はできません。
給与を2.5%以上増やせば、
建物は15%上乗せ(特別)償却
給与を5%以上増やせば
建物は25%上乗せ(特別)償却
最大で、25%の特別償却にとどまります。
色々と条件、制約も多く、この税制も使い勝手としては、
そこまでよくありません。
最後にもう一つ、中小企業投資促進税制は延長になります。
これは、即時償却とは違って、30%の特別償却です。
即時償却はできませんが、
何も手続きがいらずに、30%上乗せ償却できるため、
使っている会社も多いと思います。
これが延長になったのは、良かったですね。
Ⅱ.投資に伴う固定資産税の減額(要件)
・機械装置(160万円以上)
・器具備品(30万円以上)
・建物付属設備(60万円以上、家屋と一体となって効用を果たすもの除く)
・工具(30万円以上)
以上の設備を、2025年4月~2027年3月までに取得した場合で、
・先端設備導入計画を策定すること(労働生産性3%以上向上させる)
・投資利益率が5%以上となることが見込まれる投資計画であること
・給与を1.5%以上増加させることを計画し、かつ、労働者に表明すること
この条件を満たす場合、固定資産税は、半額(3年間)になります。
なお、給与を3.0%以上増加させることを計画し、労働者に表明した場合は、
固定資産税は、1/4明でOKです。
・賃上げ方針を表明した場合で、実際に賃上げできなくても、追徴なしです。
・ただし、そもそも賃上げ方針を表明していなければ、税制は使えません。
最後に、 令和7年には直接影響しませんが、
令和8年4月~防衛特別法人税が加わります。
法人税率が、1%ほど増税になります。
今回の税制大綱にも、法人税はあげていく、
というようなことが書かれています。
・税率は、法人も、個人もあげていく
・時給は、1,500円を目指す、
・社会保障費も増えていく
とういうことで、私たち中小企業にとっては、
益々厳しい経営環境になっていきます。
そんな皆様に少しでも有益な情報をお届けすべく、
私たちは、ブログ、セミナー、書籍を通して
情報発信してまいります。
先ほどご説明した即時償却も積極的にお手伝いしていますので、
是非とも、ICOコンサルティンググループをご活用ください。