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戦略・戦術

第221話 令和7年の税制改正

強い会社を築く ビジネス・クリニック

昨年末、与党から税制改正大綱が発表されました。


衆院選の選挙結果の影響からか、
今年は、例年よりも大綱の発表が遅れ、
年末ギリギリの公表となりました。


早速、内容ですが、
税制改正があるたびに、いつも触れている
即時償却については、一部を除いて、
2027年(R9年)3月末までの延長が発表されました。


これはよかったですね。


投資を実行される経営者、あるいは、
これから投資を検討される経営者は、
是非とも活用を検討してください。


その他については、正直なところ、
法人税に関しては、大きな動きはありませんでした。


ということで、今回は、


Ⅰ.即時償却、特別償却の延長と改廃


Ⅱ.投資に伴う固定資産税の減額(要件)


この2つについて、詳しくみていこうと思います。

 


Ⅰ.即時償却、特別償却の延長と改廃

基本的には延長ですが、3つ変更点があります。


1.C型の廃止


C型というのは、デジタル化設備と言われるもので、
コロナショックの当初に作られた制度です。


・遠隔操作
・可視化
・自動制御化


三密回避を目的とする
設備投資については、即時償却を認めましょう、
となっていました。


このC型は、大変使い勝手がよくて、重宝していました。
特に、システム関係の投資は、このC型で申請すると、
比較的、手間をかけずに、認定がとれていたのです。


25年4月以降に、システム投資をする場合は、
B型で申請することになります。

 


2.B型の投資利益率 5% から 7%へ


B型で申請する場合は、投資金額に対して、リターン(キャッシュフロー)が
5%以上出る計画でないと、認められませんでした。
今回、その基準が、5%→7%にUP


申請する側にとっては、ちょっとしたデメリットです。
ただし、これまでの流れでいけば、
7%以上の利益率が確保できると申請していて、
実際には、その利益率に達しなかった、
という場合でも、ペナルティはありません。


よって、5%→7%になっても、
実質的な影響はないと考えてよいでしょう。

 


3.100億円企業を目指すための投資優遇制度が新たにつくられました


対象企業としては、売上高が10億超~90億円未満で、
次の2つを目指す会社です。


(1)売上高100億円超
(2)年平均10%以上の売上成長率
 
投資金額について条件もあります。
設備投資額が「1億円」あるいは「売上高の5%」の
いずれか高い金額以上


対象設備として、
・機械装置 160万円以上
・工具器具備品 30万円以上
・ソフトウエア 70万円以上
・建物およびその付属設備 1,000万円以上
※医療保健業が取得するもの、発電用設備(売電)は、対象外


おやっ?と思われる方がいらっしゃると思います。


対象設備に、「建物」が入っています。


「建物が即時償却できるのか?」と思われるかもしれませんが、
残念ながら、建物は、100%の即時償却はできません。


給与を2.5%以上増やせば、
建物は15%上乗せ(特別)償却


給与を5%以上増やせば
建物は25%上乗せ(特別)償却


最大で、25%の特別償却にとどまります。


色々と条件、制約も多く、この税制も使い勝手としては、
そこまでよくありません。

 


最後にもう一つ、中小企業投資促進税制は延長になります。
これは、即時償却とは違って、30%の特別償却です。


即時償却はできませんが、
何も手続きがいらずに、30%上乗せ償却できるため、
使っている会社も多いと思います。
これが延長になったのは、良かったですね。

 


Ⅱ.投資に伴う固定資産税の減額(要件)

・機械装置(160万円以上)
・器具備品(30万円以上)
・建物付属設備(60万円以上、家屋と一体となって効用を果たすもの除く)
・工具(30万円以上)


以上の設備を、2025年4月~2027年3月までに取得した場合で、


・先端設備導入計画を策定すること(労働生産性3%以上向上させる)
・投資利益率が5%以上となることが見込まれる投資計画であること
・給与を1.5%以上増加させることを計画し、かつ、労働者に表明すること
 
この条件を満たす場合、固定資産税は、半額(3年間)になります。
なお、給与を3.0%以上増加させることを計画し、労働者に表明した場合は、
固定資産税は、1/4明でOKです。
・賃上げ方針を表明した場合で、実際に賃上げできなくても、追徴なしです。
・ただし、そもそも賃上げ方針を表明していなければ、税制は使えません。


最後に、 令和7年には直接影響しませんが、
令和8年4月~防衛特別法人税が加わります。
法人税率が、1%ほど増税になります。


今回の税制大綱にも、法人税はあげていく、
というようなことが書かれています。


・税率は、法人も、個人もあげていく
・時給は、1,500円を目指す、
・社会保障費も増えていく


とういうことで、私たち中小企業にとっては、
益々厳しい経営環境になっていきます。


そんな皆様に少しでも有益な情報をお届けすべく、
私たちは、ブログ、セミナー、書籍を通して
情報発信してまいります。


先ほどご説明した即時償却も積極的にお手伝いしていますので、
是非とも、ICOコンサルティンググループをご活用ください。

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