かなり前のことになるが、コンピュータ関連の会議で講演者の一人が「もうコンピュータの仕事はやめて、
どうやって自分が幸せになるかに集中したい、勿論コンピュータを使ってね」と語っていた。
その後、彼がその課題に成功したかどう かは分からないが、昨今やたらと「幸せ学」「幸せ研究」を目にするようになった。
友人たちの中に確かにいつも「楽しそう」にしている人がいる。
特別なことがなくても何故か楽しげでハツラツとしている。
「あれは両親の生活態度を見て学んだのかな、或いは生まれつき遺伝子的にセロトニンが大量に出るのだろうか」
などと量りかねていた。
最近読んだマーシー・シャイモフ著、茂木健一郎訳の『脳にいいことだけをやりなさい!』によれば、
どうも私たちの脳には一定の「幸せ度」が設定されてお り、たとえ悲劇的なことが起ころうと、
ゆくゆくは「一定の幸せ度」を維持しようとするというのだ。
それは平均体重と同じで、「意識的に変えようとしなければ」いずれ同じ値に戻る。
同著には幸せ度アップの方法まで書かれており、
「(今)に意識を集中させること」
「宇宙は自分に優しいと感じること」
「ひたすら感謝して進歩を喜ぶように」
「エネルギーを拡大させること」
と続く。
それには自分を認めて、
「押し殺してきた感情や過去の経験を受け入れ」
「自分はダメな人間だという思い込みを捨てる」
などアドバイスは更に詳細に及ぶ。
同書が提唱していることは特段目新しいことではなく、古今東西の幸福論、
宗教の教え、更に精神分析医の観察等とほぼ同じ路線であるように思える。
もっとシンプルなのが、技術コンサルタントで講演者としても引っ張りだこの工学博士 五日市剛氏の「ラッキー」哲学。
五日市氏とは一緒に旅行したこともあるのだが、毎日周囲に「あなたラッキーですか」と問いかけ、「ラッキー」という返事を貰う。
この言葉の魔力で幸せになれ更に運勢が開けてくるというもの。
ご興味がある方は彼の講演録『ツキを呼ぶ魔法の言葉』を参照のこと。
親はみな子供に幸せになってほしいと願う。それなら幸せになる教育も必要なのではないだろうか。
榊原節子