オーナー会社の事業承継(株式承継)で効果的なのは、
経営者に高額の退職金を出すことです。
高額退職金を出す理由は、4つあります。
1つ目は、退任する経営者の功績に報いるため
2つ目は、株価を引き下げるため
3つ目は、法人税の節税につながるため
4つ目は、経営者個人の税率が低いため
です。
2つ目(株価引き下げ)以降を補足しましょう。
会社の株価の計算において、
一番重要なのは、内部留保(自己資本)の金額です。
これを減らせば減らした分だけ、株価は下がるのです。
株価を下げるために、一番わかりやすいのは、
貸借対照表の右下の剰余金の分だけ、
退職金として支払ってしまうことです。
これが、3億円あれば、退任社長に3億円を出すということです。
こうすることで、株価が一気に額面(資本金)まで落ちます。
実際に、顧問先では、剰余金が3.7億円、退職金も3.7億円を支払って、
株価がゼロになった、という会社もありました。
次に3つ目(法人税の節税)です。
高額退職金は、「不相当に高額でなければ」損金として経費に計上されます。
なので、30年に1度の大節税策ともいわれます。
例えば、経常利益が1億円の会社で、退職金を5億円だせば、
当期を含めて5年間は、法人税は発生しない、となります。
退職金を出すということは、一時的に自己資本が減りますが、
来期以降、利益が出ても、法人税が発生しませんから、
剰余金は、加速度的に増えてゆきます。
当然、これは特別損失なので、
営業利益、経常利益が赤字になることはありません。
対外的な評価が落ちることもありません。
最後に4つ目(経営者個人の税率が低い)です。
同じ1億円をもらう場合、
役員報酬なら所得税+住民税が55%かかりますが、
退職金は、25%で済みます。
つまり、退職金は、受け取る側にとってはとても優遇されています。
いわゆる「1/2課税」となっているのです。
「1/2課税」というのは、
退職金の額面金額に、「1/2」をかけて、
それに所得税をかける、というルールです。
だから所得税率が、役員報酬等に比べると低くなっています。
いいことずくめの高額退職金ですが、
今回お伝えしたいのは、高額退職金を出すには、どうしたらよいか?ということです。
退職金の計算式は、
月収 × 役員年数 × 功績倍率
これに功労加算金というものが加わります。
このなかで、一番大事なのは、月収です。
高額退職金を出すには、月収を高くしてください、ということです。
ここで一つ事例をあげます。
関西商事(仮称)での話です。
会社は年商30億、経常利益3億、自己資本額30億円、
自己資本比率90%という超優良企業でした。
社長である関西太郎社長(仮名)は、
もともと役員報酬は月額250万円でした。
私どものセミナーに出席され、
役員報酬を700万円に引き上げました。
その後に何が起こったか?
まず、社長のお母さまが高齢で亡くなりました。
遺産分割協議が難航しましたが、結果的にまとまりました。
そのときを社長は、述懐しました。
「あのとき、私の役員報酬を引きあげていて、
手元に現金があったため、もめずに遺産分割協議をまとめあげることができました。
あげておいて本当によかったです。」
それから数年してから、その太郎社長が70歳目前の若さで急逝してしまいました。
突然の死であり、相続対策はほぼ何もしていない状態で、
10億円近くの相続税がかかりました。
資産の大半は、関西商事の株式でした。
ここで、太郎社長の息子、3代目の一郎社長(仮名)から、改めて感謝されました。
「亡き父の役員報酬をあげていたおかげで、
8億円近い死亡退職金が出せました。
相続税を支払ううえで、これは大変助かりました。
先生方の講義や書籍で、役員報酬の考え方を聞いて、
父はそのとおりにしたわけですが、その指導で2回も助けられました。
父は、生前、言っていました。
“社長の適性給料も事業承継にかかわる本当の事も、誰も教えてくれない。
頼れるのはICOだけ”と。」
いろいろな顧問先の社長と話をしていると、
「役員報酬が少ない」と感じることが多々あります。
オーナー企業は、会社はもちろん、家(相続)もしっかり考えなければなりません。
会社だけを太らせては、自社株の評価がどんどん高くなってしまい、
相続のときに家族が大変な目にあいます。
オーナー社長は、会社も家も両方のバランスをとることが大切なのです。






















