menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

戦略・戦術

第186話 贈与税がなくなる

強い会社を築く ビジネス・クリニック

 今回は、昨年12月に公表された税制改正の内容について、見ていきたいと思います。

 

 以前から言われていたことであり、今回の税制改正の本命だったのが、「贈与税がなくなる」というテーマでした。

 

 「とれるところからとる」というのは、どの世界にも共通しており、それは、国家とて例外ではありません。国家の財政の源は税金ですが、税金も「とれるところからとる」という発想のもと制度設計がなされます。

 

 富裕層の方にとって一番悩みの種は、税金が高い、ということですが、なかでも、相続税、また贈与税の税率の高さに悩まされている富裕層は多いです。

 

 特に、相続税は最高税率が50%以上と言われ、実際にそこまでかかる方は少ないものの、「そんなに取られてはたまらない」ということで、皆さん、何か良い方法はないか、とあの手この手を考えます。そもそも、日本という国から脱出しようとされる方も、なかにはいらっしゃいますが、ほとんどは、日本国内で、何とか良い方法を考えようとされます。

 

 そこで、亡くなったときに、ガサっととられないように、生前のうちに、少しずつ財産を子孫に分け与えようという発想になるのです。これが贈与です。

 

 通常の贈与というのは、「暦年贈与」と呼ばれるもので、1月~12月までの間に贈与を受けた側(子供)が、贈与を受けた金額に応じて、贈与税を支払うことになります。

 

 よくこんがらがりますが、贈与税は、贈与を受けた側が支払います。また、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんの4人から、1年の間に、別々に贈与を受けた場合、贈与を受けた合計額に応じて、贈与税を計算します。なお、贈与を受ける金額が、年間110万円までであれば、贈与税はかかりません。これは、よくご存じの方も多いと思います。

 

 110万円以上の金銭等を受け取った場合は、その金額に応じて、贈与税を支払うことになります。この贈与税は、累進課税といって、贈与を受ける金額に応じて、贈与税の税率はだんだんとあがっていきます。

 お分かりのとおり、贈与額が増えれば増えるほど、加速度的に税率があがります。かといって、年間110万円の非課税の範囲内で贈与していては、なかなか財産が減っていかないのです。

 

 これを見れば、贈与額が500万円前後が、実行税率が10%くらいで、しかも、それなりに贈与できる、という意味で費用対効果が高いといえます。しかし、この贈与については、贈与する時期に注意する必要があるのです。

 

 つい最近あった事例では、創業社長が昨年初めに亡くなりました。病気持ちの方でしたが、あまりにも早いタイミングでした。この方は、長男、長女、次女に対しここ5年ほど年間300万円贈与をしていました。先般、遺産分割協議書もつくりおえて、相続税の申告をしたのですが、3人の子供がなげいていました。

 

 「思っていたより、相続税が増えましたよ・・・・」

 「どういうことですか?」

 「親父がなくなる3年前からの贈与は、相続財産に含めて相続税が計算されるみたいで、ただでさえ、相続税がそれなりだったのが、さらに増えました・・・」

 

 そうです、亡くなる3年以内の贈与は、相続財産に含められる、というルールがあります。そして、このルール自体が、今年の税制改正のポイントして注目を浴びていたのです。

 

 税収を増やすには、富裕層から税金をとる必要があり、その富裕層は、生前贈与を使って相続税を減らしている、ということで、贈与税と相続税の一体化、が税制改正のテーマになっていました。

 

 週刊誌などでも、贈与税がなくなる!など、インパクトのある見出しが並び、贈与をするなら今のうち!というように、あたかも、本当に贈与税がなくなるような印象が強く与えられていました。

 

 結論としては、今回の税制改正では、相続税と贈与税の一体化は見送られました。そもそも、この話は、亡くなる3年以内の贈与を相続財産に含めるという話を、亡くなる5年以内とか、亡くなる10年以内とか、過去さかのぼる期間を延ばすことだと言われています。決して贈与税がなくなる、という話ではありません。

 

 なぜ、そういう話が出たかというと諸外国では、3年ではなく、10年とか15年とか、結構長くさかのぼるからです。ですが、結果的にその話自体も今回の税制改正では見送られました。

 

 今後、遠くない将来にこの話は現実になると考えています。ではその対策は?と言われれば、「今すぐ、若いうちから贈与を計画的に行ってゆく」これに尽きるのです。

第185話 今こそ、個人保証を外しなさい前のページ

第187話 2022年に進めてほしいこと次のページ

関連セミナー・商品

  1. 「第37期 後継社長塾」

    セミナー

    「第37期 後継社長塾」

  2. 社長の財務戦略

    社長の財務戦略

  3. 井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

    音声・映像

    井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

関連記事

  1. 第32話 大不況がやってきた

  2. 第59話 「社員は会社第一主義で行動させよ」

  3. 第74話 「銀行との平素のお付き合いを大切にする」という過ち その2

最新の経営コラム

  1. #1 一流の〈ビジネス会食力〉-前始末で勝負あり-

  2. 第48回 「未来への投資」は数字の外にある

  3. 第212回 税務調査にひるむな!

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    危機を乗り越える知恵(1) 家康、信玄の術中にはまる
  2. マネジメント

    第98回 「眠り方改革」は進んでいるか?
  3. 人事・労務

    第135話 業績悪化時の総額人権費の削減を考える
  4. 仕事術

    第113回 パソコンから流れる音を何でも簡単録音
  5. 教養

    第123回『ヒクソン・グレイシー自伝』(著:ヒクソン・グレイシー、ピーター・マグ...
keyboard_arrow_up