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第199回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方123『指示の意図を汲み取る力をどう育てるか』

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手

前回、「『分かりました』で終わらせない確認の習慣」についてお話しました。今回は、「指示の意図を汲み取る力をどう育てるか」についてお話します。
 入社して間もない人でない限り、どなたも先輩や上司から仕事の指示を受けた経験があるでしょう。突然のお願いですが、その時の場面を思い返してみてください。指示通りを遂行しようという意識が強かったのではないでしょうか?もちろんそれは当然のことです。でもそれでは、組織の一員としての仕事として可もなく不可もないレベルの対応です。指示を受けた使命として、指示の意図を汲み取れるかどうかが仕事の質を良くする鍵です。指示の意図を汲み取る力は、コミュニケーション能力に長けていると無意識のうちに、そこをクリアしてしまう方も稀にいますが、殆どの方は日々の経験の中で育てられると考えます。最初から指示した相手と、指示を受けたあなたの間に完全な理解があるはずはないと思うので、行き違いは起こりやすいものです。一つずつ経験を積み重ねながら、指示の意図を汲み取る力を養っていくのです。あなたに意識していただきたいことを、5つ挙げます。

1.指示の目的を考える
相手が忙しい中であなたに指示を出した時、その目的を言葉にして伝えていないことは起こりえます。相手の言葉どおりだけに集中して行動してしまうと、提出してから、思ったものと違うと言われてしまうかも知れません。例えば、「この資料を午後4時までにまとめて欲しい」と言われた場合、「わかりました」と言う前にあなたが考えることは、「この資料は会議に使うのか、お客様のところにお持ちして説明に使うのか」と言われたことに対して一歩踏み込んで質問をします。もしお客様にお渡しするという答えであれば、資料の中の言葉遣いに専門用語や業界用語などが無いように気を付けて、言葉をお客様にわかりやすいように変える必要があるでしょう。また、午後4時という数字を出していますから、「4時からのアポイントのお客様にお使いになる資料ですか」や「4時にはお出かけですか」など、あなたの作業がしやすくなる情報を瞬時にキャッチできる質問をします。目的を知ることに努めると、あなたも動きやすくなります。相手はあなたの質問の仕方を聞いて、仕事が出来るようになったと安心なさるでしょう。

2.相手の立場に立つ
相手の立場とは、今回のテーマの中では指示を出す相手は上司になるでしょうから、あなたはまず上司の日々のスケジュールの把握をしておくことが、立場を思い図りやすくなると考えます。一日の上司の動きを分かっていると、スケジュールのタイトさから、心身の疲れ具合も見えてくると思います。そのような背景を持つ上司からの指示と理解していると、指示の裏にある言葉になっていない言葉なども推察することができます。今忙しいのか、何かの決断をしなくてはならないときなのか、新しいプロジェクトのスタートを控えているのかなどと、相手の置かれている状況を考えます。すると相手の同じ言葉であっても状況によって受け止め方が変わります。相手の立場に立つことができるようになるためには、相手の様子を日々観察することも役に立ちます。

3.分からないことは勇気を持って確認する
指示に対して、これくらいなら大丈夫と思って「わかりました」と言ってしまい、その結果やり直しになってしまうことも少なくありません。これでは自分の時間もただのロスタイムになってしまいます。復唱できない指示には躊躇しないで確認が必要です。これはしっかり習慣にしておかないと、指示の意図を汲み取るレベルには到達できません。そもそも確認とは、相手の意図を正確に実現しようとする責任のある行為なのです。

4.終了後、必ずフィードバックする
今まで書いてきた「1~3」の全てが大事ですが、私は特にこの「4」は、心を込めてお伝えしたいと思います。形式的にすますフィードバックは要りません。人から言われるのではなく、自分でどれだけ正確に客観的に自分を振り返られるかどうかです。相手の意図を汲み取れたかの結果が失敗であっても、成功であっても、ともに必要なフィードバックです。指示された仕事が終わったらそれで終わりでは、新人さんレベルにすぎません。まず、やり直しになってしまったときの原因究明から挙げます。①感情は入れないで客観的に書き記す②相手の背景をどれだけ加味して、指示の内容を理解し作業を組み立てられたか③仕上げの時間については、言われた時間より早めは勿論ですが、「予測の予測」で仕上げられたか等をフィードバックなさってください。運よく思ったより喜んでいただいたときは、ある意味やり直し以上にその理由を深堀しましょう。③の文中の「予測の予測」については、本題から反れてしまいますが、個人的に最近感銘して使っている言葉です。登山家の渡邊直子さんのインタビューで「山で命を無くす人もいるが、自分が頂上を目指すときは『予測の予測』をしてから登る」と言う言葉を聞き、私は『目から鱗!』と思いました。彼女は2024年10月に世界の8千メートル峰全14座制覇を、日本人の女性で初めて達成しました。私は、仕事にも通じる心構えと意を強くしました。ちなみに「予測」は客観的なデータや科学的な根拠に基づいた推測を指し、主な目的は将来のリスクを軽減し意思決定や行動の計画を最適化することです。
流れを本題に戻すと、フィーバックを①~③の事を踏まえて習慣化することで、指示の意図を汲み取る力を育むことに繋がります。小さなことですが、文房具は少し背伸びした金額のものを使うと習慣化のモチベーションも上がります。

5.日頃から周りの方の観察を怠らない
指示を出す方は1人とは限りませんから、自分よりポジションの高い方すべてが観察対象です。一人ひとりをよく観察して、その人が最優先していることがスピードなのか、正確さなのか、締め切り時間なのか等のメモをしておくことをお勧めします。何気ない普段の会話からも、その方が大事にしていることが見えてくることもあります。相手を理解する駒が増えれば増えるだけ、その上司に寄り添った対応の仕方が見えてきます。これが確実に「指示の意図を汲み取る」に繋がっていきます。

 以上の5項目をクリアなさると、どなたも目的の「指示の意図を汲み取る力」に到達ができます。たまたま読んだ、偶然読んだを必然に変えられるのはあなたです。
 

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