◆カフェ・ヴィタ◆
「相談サービスを活用する」
今年の1月、銀座に風変わりカフェがオープンした。各種フルーツ酢や健康茶などドリンク類を頼むと、あたかもチョコレートやクッキーのような雰囲気でサプリメントがついてくる。この店の名前は『カフェ・ヴィタ』。サプリメントに関する「町の何でも相談所」を目指して誕生したという。相談に応じてくれるのは店長の平井陽子氏。れっきとした薬剤師だ。
同店はカウンター席のみ。ワンドリンクにつきサプリメントが一回分サービスされるので、サプリの初心者は、ドリンク類につけるサプリ選びから始まる。ダイエット、ストレス、美肌、疲労回復…。サプリは目的別に並んでいる。どれにしようか平井氏に相談しているうちに、サプリに対する関心が次第と高まってくる仕組みだ。すでに、平井氏とサプリ談義や健康談議に華を咲かせる常連客もできてきた。近所の薬局の薬剤師も常連客に加わった。薬との飲み合わせや、これまで飲んでいたサプリの成分について聞きに来たことがきっかけで常連になった人も多いそうだ。同店では、サプリメントの販売もしているので、ドリンクを頼まず買い物だけに来る人もいる。
『カフェ・ヴィタ』のコンセプトを考案した平井氏はもともとサプリ好き。大学卒業後は国立病院で働いていたが、たまたま自身の皮膚炎の跡が、病院で処方されたビタミン剤によって劇的に改善したため、サプリ好きに拍車がかかった。アメリカでは、保険制度の関係もあるが、予防医学や治療で積極的にサプリが使われている。医者しか処方できないサプリも沢山ある。このようなサプリの世界を、自分も究めてみたいものだとサプリへの取り組みが積極的なドラッグストアに転職したという。
ところで、サプリメントには、食事の補助として使うタイプと、短期間で効果を得ることを目的にした医療用のタイプがある。違いの一つとしては、栄養素の含有量だ。たとえば、マルチビタミンに含まれているビタミンB1の1日の摂取量は、商品によって1mm~100mmくらいの幅がある。1mmのものは、今日のサラダの代わりになっても、肌荒れの改善といった効果は期待できない。
平井氏が、実際にサプリの世界に飛び込むと、そこは広大な無法地帯だった。含有量が少ないのに、「美肌」「便秘解消」などを宣伝文句に大人気を博している商品は少なくなかった。若い客の中には、サプリと薬の区別がつかない人も珍しくなかった。「今すぐ病院に行きなさい」と説得することもしばしばだった。一方、販売員は美容部員など医療とは無縁の人ばかり。資格が不要のサプリのセクションなど希望する薬剤師は、まずいなかったからだ。このような状況が続けば、サプリのイメージは著しく悪化するかもしれない。そこで、サプリの正しい知識を得られる「相談所」というアイデアにいきついたわけだ。
サプリに対する理解や関心が高まるとともに、売上の中心は、ドリンク類からサプリに移行。五月からサークルKサンクスのオンラインショップKARUWAZA ONLINEで通販も開始。薬剤師ブランドの医療用サプリメントとして数店舗の保険薬局へ卸も行っており、売上も順調に伸びているという。
現在は、商品やサービスの多様化、高度化、専門化などが進展し、私たちは購入ひとつ、使い方ひとつでも苦労するようになってきた。サプリに限らず、「相談サービス」のチャンスは、そこら中にありそうだ。(カデナクリエイト/竹内三保子)
◆社長の繁盛トレンドデータ◆
Caffe/bar Vita カフェ・ヴィタ
東京都中央区銀座6 -1 2 – 1 2
TEL:03-6255-4255
http://caffe-v.jp/
通販:サークルKサンクスKARUWAZA ONLINE
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