そこで今回は間もなく集中回答日を迎える2012年春季労使交渉(春季賃金闘争)の労使の主張を取り上げてみました。
東日本大震災や円高、欧州債務危機など厳しい経済環境を背景に、賃金水準を引き上げるベースアップ(ベア)は「論外」であり、賃金改善は需要喚起に直接結び付かない。むしろ、日本企業を取り巻く厳しい経営環境を改善し、経済成長を実現していくことが重要。97年比で現金給与総額が下がっていると労働側は主張するが、特別給与(賞与・一時金など)は景気や企業業績による変動が大きい。賞与・一時金を除く給与は増加しており、1%の賃金改善を求める根拠は乏しい。
(2) 定期昇給の負担の重さを労使で共有する
(3) 賃金改善の実施に至らない企業が大多数
(4) 賞与・一時金機能の強化
「定昇は労使の約束事。負担の重さではなく、制度の重さを共有すべきであり、労使の信頼関係を揺るがす主張は断じて認められない」と反論。すべての働者の生活が改善される取り組みとして「2012春季生活闘争」を位置づけ、公正で安心・安全な社会の実現に向け邁進していく。
(2) 非正規労働者を含むすべての労働者の処遇改善
(3) 企業内最低賃金協定の締結拡大と水準の引き上げ
(4) 産業実態を踏まえた総実労働時間の縮減、時間外、休日労働の
割増率引き上げ
全産業 :6,017円 2.0%アップ
製造業平均 :5,629円 1.9%アップ
非製造業平均:6,734円 2.2%アップ でした。
●連合は今春闘を「すべての働く者の生活改善」に向けた生活闘争と位置づけ、「賃金カーブ維持」を前提に「基本給に諸手当、一時金を加えた給与総額の1%引き上げ」を昨年同様掲げました。
日本経団連は総額人件費の視点が重要とし、賃金改善(ベースアップ)の実施に至らない企業が大多数であり、需給の短期的変動、一時的な業績変動は、賞与・一時金に反映させることが基本となる。
中長期的課題として、実態に合わなくなった人事・賃金制度を合理的な範囲内で見直すための議論をはじめることも考えられると結んでいます。
(1) 業績良好な会社はベアではなく賞与への反映を検討してください。
(2) 業績が良好とは言えない会社であっても時間外勤務や休日勤務の
削減等を徹底し、ルール通りの定期昇給を実施してください。
(3) それでもなお困難な場合、定期昇給を実施した上で 「加給の変更
(ルールに定められた合理的な範囲内のベースダウン)」 「管理職手当等の
諸手当の変更」が考えられます。
なぜなら、仕事のできる社員ほど厳しい目で会社の将来を予測し、この会社が自分の人生を託すに値する企業かどうか、見極めようといるからです。