「我が社の明日を、誰に託すか」それは永く繁栄し続けなければならない宿命を背負う企業にとって最大のテーマです。つまり昇格昇進候補者の選考にこそ、真の能力主義は貫かれていなければなりません。
高学歴だから、勤続が長いから、穏やかな人だから、順番だからといった理屈で凡庸な従業員を昇格昇進させることは慎むべきなのでしょう。
●時が経つに従って階層社会のすべての地位(ポスト)はその職責を全うしえないレベルの従業員によって占められるようになる傾向がある。
●それでも仕事はまだ限界レベルに達していない従業員によって遂行される。
●職責を全うしえない限界レベルに達した従業員がそれぞれの地位を占めるようになったとき、組織全体が無能化し、やがて衰退していく。
生産性の低い組織を皮肉たっぷりに例示したような話ですが、これはカナダの階層社会学者ローレンス・J・ピーターが唱えたピーターの法則の有名な一文です。
賃金管理研究所が提唱する責任等級制における昇格昇進の対象者は、上位等級に昇格しても、責任ある仕事を余裕で処理し、難題にも果敢に挑戦し、良好な結果で期待に答えてくれる実力社員でなければ務まりません。
大都市中位水準の平均的な企業にⅢ等級(上級職)で安定して「良」の成績・評語B=4号昇給(号差金額2000円×4号=8000円昇給)を重ねている中居君がいました。そんな中居君をⅣ等級に昇格させた場合、監督職としては実力不足と上司は危惧していました。
中居君はⅣ等級に昇格したのですが、案の定、評語C=3号昇給(Ⅳ等級の号差金額2500円×3号=7500円昇給)となり、昇給額はⅢ等級の時より500円も減ってしまいました。中居君の場合、上位等級の役割は荷が重すぎた訳です。責任等級ですから、Ⅲ等級にもどり、改めて仕事力を磨いてから、Ⅳ等級へ再挑戦させても良いのかもしれません。
責任等級の賃金制度はオールAモデル社員の年ごとの昇給(5号昇給)および昇格昇進の軌跡を根拠に賃金表の仕組みが作られ、運用ツールとして等級別標準昇給図表が用意されています。
この標準昇給図表上に対象社員をプロットすることで、すべての社員の過去から現在までの努力の軌跡が確認できます。加えて上位等級に相応しい実力社員(上位等級で「良」以上の成績を残せる)を選び、昇格候補者とします。これこそが責任等級が真の能力主義の賃金制度だと主張する根拠です。
この真の能力主義の最終選考において昇格要件を満たす候補者が複数いるとしましょう。誰を選ぶべきか迷った時には、若い社員から昇格昇進を検討すべきです。なぜなら、若い優秀社員を選べば上位等級での活躍期間が長くなるからであり、さらに幹部の仕事に挑戦させる機会が設定できるからです。
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