賞与とは、「定期又は臨時に労働者の勤務成績に応じて支給され、
その額があらかじめ確定されていないもの」と厚生労働省は定義しています。
賃金管理研究所がこの賞与決定について提唱しているのは次の2点です。
①賞与には安定分(基本給比例)だけでなく、刺激分(成績比例)も必要である。
②刺激分は社員の成績評価の結果に応じて合理的に配分すべきである。
1.初めにいくら原資を用意するか、「賞与総額」を決めます
世間相場も考慮し、自社の業績等から今期の支給可能額を計算します。例えば従業員100人の企業が統計資料等から世間水準を知り、支給実績を確認し、賞与原資を計算しました。
「今回は4,000万円用意する」と社長が決断しました。これが今季賞与の支給総額です。この金額を超えない範囲で従業員一人ひとりの賞与金額を計算し、決めなければなりません。
2.誰にいくら・賞与の個別配分には納得性が不可欠です
公平で説明しやすい賞与配分を目指すとすれば、「安定分」と「刺激分」のちょうど良いバランスが必要です。安定分は基本給の80%支給と会社は決めました。刺激分は「過去6ヵ月の仕事の成績」が根拠ですから、「等級別・成績評語別配分点数計算表」を活用することができます。
この標準型計算表を用いて責任等級ごとに評語Sから評語Dまで該当人数を記入し、全社員がそれぞれの等級で評価され
獲得した配分点数を合算することで1点単価算定の分母となる合計点数が計算できます。
上図での合計点数は20,000点です。総額4,000万円の内2,000万円が刺激分(成績比例分) 総額だとすれば、
1点単価は1,000円と計算できます。
Ⅳ等級の刺激分賞与金額は評語Aで32万円(1,000円×320点)、評語Bで23万円(1,000円×230点)、評語Cでは17万円(1,000円×170点)と
基本給の多少に関わりなく、等級ごとに計算します。
各人別賞与はこの刺激分(成績比例)プラス安定分(基本給比例)です。Ⅳ等級で基本給30万円の元気社員A君の安定分賞与は
24万円(基本給30万円×80%)であり、評語Aの刺激分32万円と合わせた賞与金額は56万円になります。
同等級で基本給40万円のベテランB君(安定分32万円)の成績評語Bは刺激分23万円の加算であり、賞与金額は55万円となります。
評語Cでは17万円の加算で49万円となります。勤務成績次第で受取る賞与額の逆転もありうることを強調しておきましょう。