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教養

第45回 『習得への情熱』(著:ジョッシュ・ウェイツキン)

眼と耳で楽しむ読書術

秋の読書週間が始まりました。
 
この時期になると必ず、大手新聞社による
国民の読書意識調査の結果が発表されます。
 
ごく大雑把に言えば、2人に1人が、
"1ヶ月に一冊も本を読まない"
とのこと。
 
これは年代問わず、です。
 
よく言われる読書離れは
若い世代に限った話ではありません。
 
では、本を読まない理由は何か?
 
必ず上位に入るのは
 
1.時間がない
2.読みたい本がない
3.値段が高い
 
といったあたりです。
 
この中で注目すべきは
3番の"値段が高い"です。
 
近年、出版業界では、
本の定価の目安をだいたい1,200~1,300円あたりに置いています。
 
それ以上になると、"高い"という印象を持たれて
売れ行きに影響が出るとか。
 
ギリギリが1,500円で、
1,600円を超えると、完全に"高い"というイメージになります。
 
実際、書店で人の様子を見ているとわかりますが、
1,600円以上の本においては、買うかどうか迷った場合に
買わない確率が圧倒的に高くなります。
 
たとえ、それが、かなりいい本だと感じている場合でも、です。
 
どうでもいいような付き合いの飲み会には
普通に5,000円払うのに、1,600円の本に対して
そんなに惜しむのは、なぜ?(笑)
 
正直、不思議でなりません。
 
しかし、逆をいえば、1,600円以上の本を買う人も
読む人も少ないわけです。
 
値段が上がるほど読む人が減る、といっても
過言ではありません。
 
読書によって、他社やライバルとの差別化、
自身を向上させることを考えている方にとっては
値段の高い本を読むことは、非常に有益といえます。
 
もちろん、高ければいいというものでもありませんが、
高い本にはそれなりに理由があります。
 
買って損した、と思う確率は
安い本を買う時よりも、かなり少ないはずです。
 
今回紹介する本は
 
『習得への情熱』ジョッシュ・ウェイツキン(著)

45-1.jpg
 

習得への情熱―チェスから武術へ―:上達するための、僕の意識的学習法/amazonへ

価格は3,000円(税抜)です。
 
1,600円どころか、その倍近い値段。
しかし、間違いなく金額以上の価値があります。
3万円でも全く惜しくない、とぼくは思いますよ。
 
それほどの内容です。
 
本書の著者は、映画『ボビー・フィッシャーを探して』のモデルとなり、
"チェスの神童"と呼ばれた男。
 
全米ジュニア王者に2年連続で輝きながらも、
ある時、全く経験のなかった武道の世界へ転身。
 
太極拳推手の世界選手権覇者になった上、
黒帯の柔術家となった、トップ中のトップです。
 
いわば、デスクワークから、アスリートに転身して
いずれの世界でも頂点に立ったようなもの。
 
このような離れ業がなぜ実現できたのか?
 
その秘密が本書にあります。
 
著者の勝負人生を通じて、
トップレベルになるために何が必要なのか、
いかに学ぶべきか、が克明に描かれています。
 
ポイントとなるのは、
チェスで身につけたものを武道に応用して成功した、ということ。
 
つまり、ビジネスにおいても応用が利く考え方といえます。
 
また、彼が幼少時から受けてきた
多くの一流指導者のことを知る点でも秀逸。
 
経営者はもちろん、何らかの形で
人を指導したり、育てる立場にあるなら必見です。
 
ちなみに、この内容をセミナーで学ぼうと思ったら、
3,000円どころか、3万でも無理です。
 
自らの能力向上や差がつく読書を実践したい方に
ぜひおすすめします。
 
尚、本書を読むときに、おすすめの音楽は
 
『サキソフォン・コロッサス』(ソニー・ロリンズ)

45-2.jpg
 

サキソフォン・コロッサス/amazonへ

 
です。
巨匠ソニー・ロリンズの音楽には、ジャズの魅力が詰まっています。
 
特に名曲揃いのこのアルバムにおける
共演する凄腕ミュージシャンたちとのアドリブの応酬、
その中に見られる絶妙なかけひき。
 
本書に通じる部分も感じられ、
読書の実りをより豊かにしてくれます。
ぜひ合せてお楽しみください。
 
では、また次回。
 
 

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