ある調査によると、イヤな上司のトップは「気分屋」とのこと。
続いて、「優柔不断」「細かいことに気を遣いすぎる」「自分の都合が最優先」
「無神経」「すぐキレる」の順で嫌われている。
さらには、「服装やプライバシーに干渉したがる」「休暇をとるとムッとする」
「時間にルーズ」「清潔感がない」「家庭の自慢をしたがる」「お金にルーズ」
…も、嫌われる上司であった。
いちいちもっともで、思い当たる管理職も多いはずだが、その反面、この種の
アンケート調査には落とし穴もある。
「近代的なゴミ焼却場建設に賛成ですか」との設問には、ほとんどの人が
賛成と答えるはずであるが、では、
「あなたの家の隣接地に建設するのには、賛成ですか反対ですか」となると、
たちまち怪しくなる。
おそらく、賛成は激減するに違いない。
このように、アンケート調査というものは、設問の仕方によっても
回答の選択肢によっても、かなりニュアンスが違ってくるものだ。
管理職を擁護するわけではないが、たとえば、優柔不断な上司が尊敬されないことは
理解できるとして、前もってわかっている繁忙期に突然休暇をとるなど、
ムッとせざるえないケースもご理解いただけるはずだ。
本当は細かいことまでに気を遣いたくはないし、服装やプライバシーにまで
干渉したくもないが、あまりの常識はずれのため注意ことは当然である。
仕事の段取りがマズいことから指導しようとしたばかりに、
自分に都合を優先させている、と思われることもある。
つまるところ、この種の調査には、
≪参考にすべし、さりとてあまり気にするのもいかがなものか≫
といったスタンスであればいいと考えている。
同じように、「いい上司のタイプは」といったアンケートをとったとしよう。
いろいろな答えが返ってくるだろうが、おおよそ2通りのタイプに分けられるはずだ。
ひとつは、部下を誘って飲みに行く人、いわゆる面倒見のいいタイプ。
もうひとつは、「あの人を見習って仕事をしよう、あの人のようになりたい」と
尊敬を受けるタイプである。
人気より人望・・・。
私は、人気はなくても人望があれば、上司としては合格であると評価している。
したがって、部下から「いい上司」と思われるにしても、後者のように
尊敬を受けるタイプうを目指すべしとアドバイスしている。
中間管理職に対して、「360度評価制度」を取り入れる企業が増えている。
上司の評価だけでなく、同僚や部下の評価も加えようというものだ。
しかし、だからといって、部下や同僚の人気取りに走るのは本末転倒である。
あくまで人望を得るように努力することが本道だ。
とはいえ、前者のタイプにしても、どうせ面倒を見るからには、
部下が最大限感謝するぐらい面倒を見ることだ。
時間をやりくりしてまで、落ち込んでいる自分を飲みに誘ってくれた、
親身にアドバイスをしてくれた…、となれば、
部下にしても感謝こそすれ、煙たい存在とは思わないはずだ。
その意味で、ベストセラーの「驕るな上司」ではないが、「奢れ上司」といいたい。