menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

健康

第42回 丸駒温泉(北海道) 季節によって深さが変わる湖畔の湯

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■支笏湖の湖畔にわく道内随一の「秘湯」
 北海道にある丸駒温泉は、新千歳空港や札幌から車で1時間弱、支笏湖畔に湯けむりを上げる。広大な土地を誇る北海道のなかでは、旅行客や出張のビジネスパーソンにも比較的アクセスしやすい。
 
 支笏湖は日本最北の不凍湖。日本で2番目の水深を誇り、透明度の高い水質でも知られる。丸駒温泉の一軒宿「丸駒温泉旅館」は、支笏湖の北の湖畔にある。大正4年の創業だから、すでに100年超の歴史をもつ。北海道屈指の老舗の宿である。開業当時は、宿に通じる道がなく、お客は反対側の湖畔から船で訪れたという。
 
 丸駒温泉旅館は、北海道随一の秘湯として名を馳せるが、施設自体は整備が行き届いている。建物も近代的で立派である。外観からは、「秘湯」のイメージはほとんど感じられない。
 
 大浴場は、男女別に分かれている。20人くらいが入れそうな内風呂は、あつ湯とぬる湯が用意され、好みに合わせて選ぶことができる。いずれも緑色がかった濁り湯が、ざばざばとかけ流されている。鉄が錆びたような匂いが特徴。口に含んでみると、鉄や血のような味がする。
 
■季節によっては「立って入る水深」に
 内湯の外には、開放的な露天風呂がある。支笏湖の美しい眺望が一望できる湯船で、ボートに乗っている人がいたら丸見えである。
 
 湯船からは、太陽光を反射するキラキラとした支笏湖の湖面と、活火山の風不死岳の雄姿を拝むことができる……はずである。私が訪れた日は、あいにくの雨と霧。霧が湖面を覆っており、かろうじて湖の一部が見えるくらいである。晴れた日に、露天に置かれているデッキチェアに横になれば、さぞかし気分がよいだろう。
 
 丸駒温泉の自慢は、これだけではない。「天然露天風呂」こそが真打である。内湯とは離れた場所にあり、湖畔の通路を歩いていく。湖畔に面した岩風呂で、30人以上が浸かれそうな巨大な湯船である。
 
 玉砂利が敷かれた湯船に足を踏み入れ、湯船の中央に進んでいくと、どんどん水深が深くなっていく。ついには、胸のあたりまで湯が! そう、立った状態で入らなければいけないほど深い湯船なのである。私が訪れた日の水深は145センチ。泳げるほどである。
 
 実は、この露天風呂は、支笏湖の湖面に合わせて水位が変化する天然の露天風呂である。雨の多い時期は水位が上がり、逆に、冬は水位が下がって30~50センチになることもあるという。ちなみに、2000年6月には160センチまで達したという。
 
■支笏湖の水で泉温調整
 世の中には「天然温泉」と謳う温泉は山ほどある。だが、それらの多くは、ボーリングで掘削した温泉である。法律上、温泉であるということを表現したにすぎない。しかし、「天然露天風呂」は、正真正銘の「天然」である。湯船が、大自然の営みの中に組み込まれている。
 
 「天然露天風呂」の湯は、内湯と異なり、透明度の高いのが特徴。下に敷いてある玉砂利がはっきりと見える。支笏湖の透明度に負けていない。ピュアという言葉がよく似合うやさしい湯である。
 
 温泉は湯底から湧出している。いわゆる「足元湧出泉」である。しかも、複数箇所からブクブクと湧き上がっている。泉温は50℃を超える。どのように温度調節をしているかというと、湯船が支笏湖とつながっており、水門に敷き詰めた砂利の高さで温度調節をしているという。熱いときには砂利を低くして、支笏湖の水を入れるというわけだ。
 
 なにからなにまで、天然の温泉である。この湯に浸かれば、「温泉は大地の恵みであること」を実感できるはずだ。
 

第41回 出湯温泉(新潟県) 二日酔いに効果あり!? 弘法大師が見守る寺湯前のページ

第43回 川渡温泉(宮城県) 「ワーケーション」をするなら湯治宿で次のページ

関連記事

  1. 第25回 箱根湯本温泉(神奈川県) 人気温泉地で存在感を放つ素朴な共同浴場

  2. 第62回 登別温泉(北海道) 5つの泉質と35の浴槽が楽しめる「絶景温泉」

  3. 第45回 宝乃湯温泉(兵庫県) 名湯・有馬温泉に負けない濃厚な黄金湯

最新の経営コラム

  1. 第221話 令和7年の税制改正

  2. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳 2025年1月15日号

  3. 第50話 採用初任給の大幅な引上げにどう対処するか

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    第285回 読まれない報告書を書くくらいなら、直接報告!
  2. 税務・会計

    第36号 信用金庫はあっても信頼金庫はない
  3. 後継者

    第54回 グローバルな視野を身につけさせるには
  4. 税務・会計

    第55回 2023年10月施行 インボイス制度~事前準備すべき4つのポイント~
  5. 税務・会計

    第43号 実行者の勝手な言い分
keyboard_arrow_up