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第49回 わいた温泉郷(熊本県) 温泉は見た目も大事 !? 湯けむりが自慢の出湯

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■湯けむりに包まれた小さな集落
 温泉街の至るところから、もくもくと立ち昇る湯けむり。湯けむりが上がる様子を見ると、人は無性に温泉情緒を誘われ、湯船につかりたくなるものだ。温泉も見た目が重要である。
 湯けむり(水蒸気)が噴き上がっている温泉街といえば、大分県の別府温泉を思い浮かべる人もいるかもしれないが、ここでは全国的には穴場といえる湯を紹介しよう。
 「温泉地が元気をなくしている」といわれる一方で、近年、温泉ファンの注目を集めている温泉地がある。熊本県の北端、大分県との県境に湧く「わいた温泉郷」だ。
 九重連山のひとつ「涌蓋山(わいたさん)」のふもとに位置している「わいた温泉郷」は、6つの温泉地で構成される。なかでも、最も温泉情緒を感じられるのが岳(たけ)の湯温泉。10数軒の民家や温泉旅館などが点在する小さな山里の温泉地で、棚田が広がる光景は日本の原風景ともいえる。そんな岳の湯温泉の人気の秘密は、あちらこちらからシューッシューッという音をたてながら噴き出す白い蒸気。
 小さな集落が、数十カ所から立ち昇る湯けむりに包まれている様は圧巻。視界が遮られるくらいに激しく噴き出している箇所もある。事情を知らずに訪れた人は、「もしかして火事?」と心配になるかもしれない。集落全体は硫黄の香りも充満しており、まさに「温泉の里」である。
 おもにパイプなどから水蒸気が噴き出す別府温泉と違うのは、湯けむりが地面や道路の割れ目からも噴出している点。大地のパワーを視覚的にも実感させられる。
 
■名物は「蒸し地鶏」
 もちろん、火山帯にある温泉地などに行けば、荒涼とした地獄地帯の地面から水蒸気が噴き出している光景を目にすることができる。しかし、岳の湯温泉の場合は、ごく普通の民家の庭先から湯けむりが上っている。そういう意味で、岳の湯温泉は全国的にもめずらしい光景が広がる温泉地だといえる。
 この水蒸気が住民の生活に活用されているのも、岳の湯温泉の特徴。蒸気は天然の暖房やハウス栽培に利用されるだけでなく、野菜や肉の蒸し料理にも用いられる。旅館などで出される「蒸し地鶏」は地元の名物だ。
 そんな岳の湯温泉街から少し高台に上ったところに位置するのが「豊礼(ほうれい)の宿」。素泊まり4500円からの低料金で利用できる宿泊施設のほか、男女別の露天大浴場と家族風呂を備えている。
 日帰りでも気軽に利用できる露天大浴場は、15人くらいが浸かれる岩の露天風呂のみのシンプルなつくりだが、「これだけで十分」と思わせるすばらしい湯が、かけ流しにされている。
 
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■神秘的なホワイトブルーの湯
 青色がかった白濁湯は硫黄が香り、黒い湯の花が舞っている。「ホワイトブルー」と呼ばれる神秘的な色が印象に残る。個性の強い湯であるが、肌触りがスベスベするのが特徴で、入浴感はとてもやさしい。
 開放感いっぱいなので、湯船からの景色も文句なし。雄大な涌蓋山の姿を眺めながらの湯浴みは格別だ。吹き込んでくる風も心地よい。
 貸切利用できる家族風呂もおすすめ。地方ごとに温泉文化に特色があるが、九州の温泉施設には「家族風呂」が多いのが特徴。家族風呂限定の日帰り施設や、まるでカラオケボックスのように部屋が並ぶ温泉施設もめずらしくない。しかも、他の地方よりも料金が手ごろで、施設によっては数百円で貸切にできるところもあるくらいだ。
 ポカポカに体が温まった私は、売店で買った卵を地獄蒸し器に入れた。さつまいもやとうもろこしなどの食材を、温泉の蒸気を利用して調理することができる。
 5分ほどで卵を蒸し器から取り出すと、ほんのりと硫黄の香りがした。ほくほくとした食感のゆで卵は、塩をつけなくてもおいしい。浸かってよし、眺めてよし、食べてよし。温泉の恵みを堪能できる温泉施設である。
 

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