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戦略・戦術

第三十五話 こだわりが詰まったストーリーDMでお客の心をわしづかみ!

中小企業の「1位づくり」戦略

こんにちは!

1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相です。

 

事業承継で10年後を見据えて、着実に行動を重ねている中小企業は少数派。

 

事業承継に向けた準備の必要性・重要性を認識していなければ、準備に着手することは出来ません。経営に必要な能力を身につけ、事業を引き継いでいくには5年から10年以上の準備期間が必要とされています。

 

しかし中小企業の現状は、経営者が予期せぬ事故や病気に見舞われたことをきっかけに、ある日突縁に次期社長として経営を任される実態があります。

 

 

■海苔専門店 株式会社河昌

 

1971年創業の河昌も例外ではありませんでした。

先代社長の病気をきっかけに藤井さんは1985年に入社し事業を継ぎました。

 

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海苔専門店の河昌は、明石産の海苔を中心に海苔・乾物を寿司店や葬儀会社などに販路を広げ、89年に売上げはピークとなり、近隣寿司店300店以上の顧客を確保していました。

 

しかし次々に出店する大型回転寿司屋の進出に伴い、地元寿司屋は顧客の減少で苦境に陥り、河昌の事業も苦戦していました。

 

既存店の売上げ減少、倒産廃業による取引先の減少をどのように食い止めていけばいいのか?

 

「当時は周りの全てが敵にみえました。事業を承継したといっても経営のことを具体的に学んだことがありませんでした。売上げ・利益を挙げることばかり考えて仕事をしていて、自社の強みが何なのか?そもそも社長の仕事っていったい何なのか?わからずに無計画な折り込みチラシ、無駄な飛び込み営業を繰り返し、とうとう病気になりました」

 

藤井さんは悩んだ末に、税理士のすすめもあり、経営力の向上にむけて事業の戦略をあきない道場で学びました。

 

事業のミッションや目的、経営の目標、そして自社独自の戦略と営業戦術を構築していきました。感謝とありがとう。海苔で笑顔の輪を広げることを使命として戦略づくりを行いました。

 

 

■新規顧客を増やすための営業の仕組み

 

まずは新規顧客を増やすための取り組みを始めました。

プロジェクト名は「こだわり寿司屋の海苔専門店 DM販促作戦」です。

 

客層は品質重視の寿司店で、商品は、高品質な海苔、明石産の海苔に特化することにしました。地域は、神戸の中心街三宮に絞り込み約100店と決めました。

 

見込み客をリスト化するため、ぐるなびや食べログ、Webの検索で店舗を探し、食事の予算が5000円以上の店だけに絞り抽出しました。

 

DM販促作戦は同じ店に段階的にストーリーDMを送り続け、短気かつ集中的に接触頻度を高めて、知名度を高めた後で、3ヶ月で訪問を実施することにしました。

封書ではなくはがきというのが手にとって観てもらいやすいと考えました。

 

 

1回目は自己紹介のDM

目的は会社と個人に対する信頼を感じてもらうこと。

店の専門性やこだわりを伝えることに絞りました。

 

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2回目は他店との差別化になる少量の取扱を中心に記しました。

海苔は資材卸会社が取り扱っていました。「大量に扱っているときは対応も良かったが、少量になると、急に対応が悪くなった」とお客さまの取材で知りました。

ライバル会社は販売ロット数が小さくなると動きが悪くなっていました。

お客取材で強みになると気づきました。

 

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3回目は有明産の海苔の不作について。

これもお役からの問い合わせをうけたことを書きました。いい海苔が入らず困っていることがわかっていました。

 

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4回目は店主との距離感を縮めることを目的に手書きDMを送りました。

この結果、DMに直接反応が4件あり、取引先となりました。

脱価格競争に成功しました。

 

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その後、3ヶ月で50件の寿司屋に飛びこみ営業を実施しました。

飛びこみ営業は過去の失敗を教訓とし計画しました。

「売り込みから断られる」

・売り込まない

・サンプル出さない

 

とにかく海苔の不作でいい海苔が入らず困っていることがわかっていました。

売り込むのではなく、顧客の困りごとに焦点を当て、2人1組となり寿司屋を訪問しました。

 

これまでの経験で訪問した先の店主からは「サンプルはないのか?」と必ずといっていいほど訊ねられました。

 

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それは断り文句であり、商談の可能性を期待するものではありません。

 

 

そこで、「こだわっている内容を聞かないとサンプルは出せません」と質問形式の営業トークをつくり、再訪問できるプロセスを考えました。

 

営業は話し上手だから売れるものではありません。

計算された取り組みがあるからこそ成果をだせるのだと想いました。

 

この取り組みの結果、利益率は2倍になり、河昌は価格競争から脱却することに成功しました。

 

今回はDM販促についてのお話をしましたが、これらの取り組みの目的は、特定の地域に同業者よりも多くのお客をつくり、市場占有率で1位になることです。

 

とくに卸売業の場合、特定の地域に取引先が増えると利益性はとてもよくなります。
移動時間が短くなり、そのぶん訪問件数が多くなるからです。
あなたはどこで1位を目指しますか?

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