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製造業

第227号 モノづくりの真髄とは

柿内幸夫─社長のための現場改善

 先日仕事で倉敷に行った時に、ちょっと時間があったので商店街を散歩しました。すると、ちょうど「倉敷雛めぐり」という各店舗が、いろいろなお雛さまを飾るイベントをやっていました。
 大きくて立派なもの、歴史を感じさせるとても古いもの、そしてちょっと変わったおもしろいものといろいろありました。下の写真2枚は、私がおもしろいと思ったものです。(上:備前焼のお店のお雛さま)(下:茶道具屋さんのお雛さま)

kaki227-1.jpg


kaki227-2.jpg  さて、今回はレベル5のまとめです。もういちど、モノづくりのレベル全体を提示しておきますので、赤字になっているレベル5にご注目ください。

 レベル0:ダンゴ生産

 レベル1:工程内の流れ

 レベル2:工程間の流れ

 レベル3:工場内の流れ

 レベル4:工場間の流れ

 レベル5:お客様への流れ

 レベル6:一気通貫の流れ

 ところで、レベル5の「お客様への流れ」という言葉は、それまでのレベル1~4の「工程」とか「工場」といった言葉よりも、ちょっと一般的な響きがあるのではないでしょうか。

 というのも、「工程内の流れ」と言われても、モノづくりにかかわりのない方だと何のことだか分からないかもしれませんが、「お客様への流れ」であれば、何となく分かるでしょう。

 ただし、言葉としてはすごく分かり易いのに、レベル5ですから難易度は高いのです。どういうことかというと、すごく当たり前のことなのだけれど、けっこう忘れられていることであるということなのです。

 それは、「工場でのあらゆる活動は、お客様からのご要望に応えるために行っている」ということです。このことを言うと、「ウチは下請けだから」とか「部品だから」という人がいるのですが、納入先や、その先の先には、必ず一人のお客様がいます。

 それが小さな大量生産部品であっても、すべて血の通った一人ひとりのお客様からのご注文であるということです。

 モノづくりの工程が多く複雑になればなるほど、一つの製品を完成させるまでに多くの人が関わり、出来上がりにも時間がかかるようになります。

 そして、原材料から製品になるまでが一目で見えなくなればなるほど、作業の部分だけを見てしまいがちです。

 そうすると、私たちは見えるところにどうしても力が入ってしまいます。仕事を、モノを削ったり組み付けたり運んだりの「作業」をすることが目的のように思ってしまい、だったらばスピードを上げた方がいいのではないかと考えて、再びレベル0のダンゴ生産に向かってしまうことも考えられます。

 しかし、私は、日本の製造業の特長は、単にモノを機械で速く安く削るのではなく、同じ部品でも常にお客様のことを考えながら作るということであると考えています。そして、この考えが日本の製品の信頼性を支えて来たと言っても、過言ではないと思います。

 さて、これまでレベル0のダンゴ生産から始まって、レベル1の工程内の流れ~工程間~工場内~工場間、そして今回のお客様へと流れのレベルを上げてきました。

 工場のモノづくりのすべてのスタートはお客様からの注文を頂いたことであり、それとモノづくりをリンクさせるための改善を積み上げてきたわけです。

 「後工程はお客様」といって、どんどん後工程に移動していくと、最後は本当にその部品が使われている商品を手に取っているお客様に届きます。このことを常に頭に置いて、レベル5の実現を図って頂きたいと思います。

kaki227-3.gif

copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

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